自動車の起源は5500年前の「ろくろ」にあった 「古代文明」にたどり着く現代の暮らしのルーツ

拡大
縮小

1807年には、はじめての内燃機関(水素燃料)で動く自動車がスイスで誕生している。ただしそれは実用的なものではなかった。初期の電気自動車も同じく実用にはならなかったが、その概念は1830年代にスコットランド人のロバート・アンダーソンが思いついたものらしい。

ベルギー人の発明家ジャン= ジョセフ・エティエンヌ・ルノワールによる「馬なし馬車」は、はじめて商業的に実現可能な内燃機関を利用したもので(1863年)、1870年にはガソリン燃料のエンジンがオーストリアのウィーンで製作された。その7年後にドイツのエンジニア、ニコラス・オットーは、はじめての4ストロークエンジンを開発した。

これらのすべての努力がつながった末に、カール・ベンツは、はじめての近代自動車と広く認められている乗り物を生み出すことができたのだった(1885年、ドイツ)。

近代的4輪自動車の誕生と大量生産

ベンツが1885年に発表した自動車は3輪自動車で、はじめての近代的4輪自動車は、1886年のカンスタット・ダイムラーだ(ドイツ)。

1903年に発売された60馬力のメルセデス(ドイツ)は高速ツアラーを名乗ったものの、はじめてのスポーツカーの栄誉は通常、3リッターのボクスホール・プリンス・ヘンリーに与えられている(1910年、英国)。(ただし実際にスポーツカーという言葉が用いられるのは、第1次世界大戦の後になる)。

オランダのスパイカー60HPははじめての4輪駆動車で、1903年に発表された。有名なモデルTフォードは動く組み立てラインで製造されたはじめての自動車だが(1913年、アメリカ)、はじめての大量生産車は1901年のオールズモビルだ(アメリカ)。初期の自動車はすべてオープントップ(屋根なし)だった。

その後リムジンができ、周囲をすっかり囲まれた乗客の席は運転席とも隔てられた(運転手は、フランスのリムーザン地方に特有のマントを着ていた)。さらに大型のストレッチリムジンも登場している(1920年代、アメリカ)。屋根のある車ができると、コンバーチブル(1922年)および電動リトラクタブルトップ(1934年)も登場するようになった。

この時代には、平凡な自動車に加えて数多くの変わった種類が市場に投入されている――2ストロークエンジンを搭載したDKWタイプP(1928年、ドイツ)、折りたたみ式3輪自動車のザシュカ(1929年、ドイツ)、折りたたみ式ではない3輪自動車のドイツのゴリアテ・パイオニアと英国のラレー(のちのリライアント)・セイフティ・セブン(どちらも1931年頃)などだ。

次ページ電気自動車と自動運転車の時代へ
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT