自動車の起源は5500年前の「ろくろ」にあった 「古代文明」にたどり着く現代の暮らしのルーツ
木製のスポークのある車輪は、それから約500年後にシベリアではじめて作られ、紀元前500年頃にはケルト人がはじめて鉄の外輪を加えた。
次に、ローマのエンジニアたちによる重要な3つの「はじめて」が登場する(紀元前1世紀末)─―金属製の車輪軸受け、バネ入りサスペンション(鎖または皮革を利用したもの)、そしてピボットつき前輪車軸だ。ローマ人は、足踏み式のブレーキも発明した。
動物が引く荷車は19世紀までほとんど変化しなかった。しかし、人を運ぶ軽量で速い馬車には、数多くの変形が生まれた。
17世紀末までは、1人乗りまたは2人乗り幌つき軽装2輪馬車のチェイスが、西ヨーロッパの街路を軽やかに走っていた。およそ30年後、車台が低く豪華な4輪馬車のランドーがはじめて同名のドイツの町で製造された。
18世紀半ばにフランスで1頭立ての幌つき2輪馬車キャブリオレが生まれると、まもなく「キャブ」と短縮形で呼ばれるようになり、ジョゼフ・ハンサムのハンサムキャブ(1834年、英国)で有名になった。今でも英国ではタクシーを「キャブ」と呼び、その名を残している。
バルーシュはランドーを小型にした4輪馬車で、19世紀初頭に登場した。この頃までには、すでに鋼のバネが使われて150年ほどたっていた。はじめての駅馬車(ステージコーチ、1610年)はスコットランドで誕生して、エジンバラとリースの間を走った。はじめての郵便馬車(メールコーチ)は英国のロンドンとブリストルの間を往復し(1782年)、ウマが引くバスサービスは1829年にロンドンではじまった。
いよいよ自動推進車が登場
自動推進車(自動車)として知られている最古の設計(1478年)は、イタリア人の天才レオナルド・ダ・ヴィンチが生み出したものだ。だがダ・ヴィンチの大ざっぱな設計図は不明瞭で、今ではその自動車はバネで動くもの(つまり、ぜんまい仕掛け)だったと考えられている。
次に登場した自動車(1672年頃)は蒸気動力による玩具の車で、イエズス会の宣教師が18歳の中国(清の第4代)皇帝、康煕帝(こうきてい)のために設計した。1769年にフランス人のニコラ=ジョセフ・キュニョーが蒸気3輪自動車の軍用トラクターを作り、19世紀を迎えるとコーンウォール(英国)のリチャード・トレビシックが蒸気自動車の「パフィング・デビル」を走らせた(1801年)。
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