沖縄で進む「LGBT理解」、仕掛け人が貫く信念 主導する2人のホテル経営者の思いとは

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経営者の理解も年々、進んできた。1桁台だったピンクドット沖縄の賛同企業・団体(アライ)は、120(2019年)を超えるまでになった。ホテルの採用面でもプラスに働き、「感度の高い」人材が集まっているという。

電通ダイバーシティ・ラボの「LGBT調査2018」によれば、LGBTなどセクシュアルマイノリティーに該当する人は回答者の8.9%、およそ11人に1人の割合となった。

高倉氏と二人三脚で、沖縄で多様性について理解を広げるために走り回るのが、ピンクドット沖縄副代表理事でKPGホテル&リゾートの田中氏だ。

経営するホテルでもLGBT向けのサービスに力を入れているピンクドット沖縄の田中正男・副代表理事(筆者撮影)

KPGホテル&リゾートはカトープレジャーグループのカンパニー企業で、「LGBTフレンドシップホテル」を掲げる。

沖縄県内では4つのホテルを運営しており、そのうちの1つ、カフーリゾートフチャクコンド・ホテル(恩納村)は2014年からLGBT向けのウェディングプランを展開している。田中氏は自ら講師となり、月1回LGBTに関する社内研修を実施。企業としてピンクドット沖縄の事務局も務める。

それらが評価され、LGBTに関する企業の取り組みを評価する「PRIDE指標」で「ゴールド」を受賞。カフーリゾートフチャクコンド・ホテルの4年連続ゴールド受賞は、全国のホテルで唯一という。田中氏は「会社の利益と社会貢献活動の両輪がうまく回ればいい」と話す。

まずは台湾のLGBTを呼び込みたい

博報堂DYホールディングスの2017年調査では、LGBT層は非LGBT層に比べ、旅行に関する支出金額が2倍以上多かったとの結果が出ている。LGBTツーリズムの市場規模は世界全体で約22兆円と言われる。

田中氏は沖縄だけでなく海外、まずは台湾のLGBTの呼び込みを視野に入れている。現在は直行便が運航休止中だが、沖縄までのフライト時間は約1時間半。昨年5月には、アジアで初めて同性婚を認める法律ができた。田中氏は「新婚旅行で堂々と来てもらえる」と話す。

「台湾の人口が約2300万人。10%がLGBT当事者とすれば、230万人。そのうち10~20%が日本に来てくれたらうれしいし、うちのホテルに泊まってもらえたら、もっとうれしい。コロナがもう少し落ち着いたら、ピンクドットと一緒に仕掛けをしていきたい」

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