東アジアと欧米、コロナで明暗分けた決定要素 国際的な感染症危機管理ガバナンスを構築せよ

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新型コロナ対策について東アジアが成功し、欧米が困難に直面しているという東洋・西洋比較論では、社会で重視される価値の違いが、対策の成否に影響を与えていると言及されることが多い。

共同体主義的価値を重視する東洋(東アジア)は、個人主義的価値を重視する西洋(欧米諸国)と比較し、個人の少々の不便はのみ込み、マスク着用義務や集会回避といった社会防御のための義務を自発的に徹底して履行する。これが、新型コロナ対策に良好な作用を及ぼしているというのである。

確かに、欧米諸国では、自由の抑圧に反対するとして反ロックダウンや反マスク着用デモが各地で行われ、感染の拡大に伴い、多くの国々が今秋から2度目のロックダウンに突入しており、経済の悪化に拍車がかかるなど、困難な状況に陥っている。

感染症危機管理には、「社会全体でのアプローチ(Whole-of-society approach)」が必要だ。政府の力だけでは戦えない。社会のあらゆる分野と国民1人ひとりの協力が不可欠である。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、新型コロナ対策における「Solidarity(団結・連帯)」の重要性について繰り返し述べているが、これはまさに「社会全体でのアプローチ」を実行するために必要な基盤的要素だ。民主主義や権威主義といった政治体制の違いを問わず、社会全体として競争力を発揮するために必要な基盤であり、東アジアにおいて実践されている。

日本と東アジアの連結性増大

東アジア各国における国内対策の成功は、地域全体に地経学的優位性を投射し、地域の連結性を強化している。今後、ワクチンの与える影響は大きいものの、現時点で新型コロナ対策に成功している東アジアは、欧米に比して、国際的な往来の再開や経済的な回復も早いと考えられるためだ。

11月14日の第23回ASEAN+3首脳会議議長声明は、新型コロナ対策の成功が導く東アジアの地経学的優位性を促進し、新型コロナ対策を機軸とした東アジアの連結性を具体的に増大させる内容だ。例えば、ASEAN感染症センターや新型コロナASEAN対応基金、公衆衛生上の緊急事態のためのASEAN地域医療物資備蓄(RRMS)の設立に対する日中韓の貢献に触れつつ、必須医療物資備蓄については、日中韓を含む地域包括的な枠組みの設立も行うとしている。

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