3年前の遺恨も噴出「スキー連盟内紛」の全内幕 改革を主導した皆川賢太郎・競技本部長は辞任

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成田氏は、透明化や民主化をうたう北野、皆川両氏に疑問をぶつける。

「彼らは、改革を掲げて組織の透明化や民主化を先導してきたように主張しているが、そもそも私の辞任は密室で決まった」

成田氏の証言について北野氏に事実関係を求める取材依頼をしたが、取材は受けないということだった。

北野氏や皆川氏に対して、進め方が強引だという批判はある。一方で、彼らがスキー連盟の財務基盤を強化してきた事実もある。スポンサー協賛金は1億1900万円(2016年~2017年)から3億1300万円(2018年~2019年)へと大幅に増え、国からの補助金収入も2億8600万円(2016年~2017年)から4億880万円(2018年~2019年)へと増額している。

それは、皆川氏が重視したマーケティング戦略で「SNOW JAPAN」のブランディングを図り、企業が協賛金を出しやすい環境を整えたからだ。強化戦略プランとKPI(重要業績評価指数)を設定し、補助金を投与する国から適正に評価を受ける仕組みも整備した。いずれも国が定めるスポーツガバナンス・コードに沿った改革だ。

スキー連盟副会長の後藤田正純・衆議院議員は「北野会長、皆川競技本部長の下で進められてきた改革や強化戦略プランに賛同し、民間企業は協賛金を出し、国は補助金を支給してきた。民間企業のお金や国民の税金が入っている以上、今回否決をした人たちには相応の説明責任が求められる」と指摘する。

「改革の進め方に問題があった」

シクミネット導入時の混乱など、北野、皆川両氏の改革には要所要所で強引さが目立った。しかし会員登録システムのIT・デジタル化やガバナンス・コードに沿った組織改革などは時代の要請だ。そのことは、今回否決に回った人々もおおむね認めている。

否決に動いた一人で、群馬県スキー連盟の林辰男会長も言う。

「改革の進め方には問題があったが、北野氏と皆川氏が進めてきた改革の方向性について間違っていたとは考えていない。むしろ必要なことだった。足りなかったのは地方との意思疎通、コミュニケーションだ」

スキー連盟は12月6日の臨時評議員会をもって新体制がスタートするが、現在の候補者7人の中には前会長の北野氏が含まれている。一度は選任が否決され、会長に返り咲くことはないとみられる中、その動向が注目される。またスキー人口や連盟会員数は依然として減り続けており、2022年2月には北京冬季五輪も控えている。

混乱を終息させ、的確な改革案を打ち出して前に進められるのか。新体制、新会長にとって、難しい舵取りになることは間違いない。

野中 大樹 東洋経済 記者

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のなか だいき / Daiki Nonaka

熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年に東洋経済新報社入社。週刊東洋経済編集部。

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