3年前の遺恨も噴出「スキー連盟内紛」の全内幕 改革を主導した皆川賢太郎・競技本部長は辞任

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「北野会長と皆川競技本部長はトップダウンが過ぎた。何事も本部で決めて、地方の加盟団体に『こういうふうにやるように』と指示だけが飛んでくる。現場はその都度てんやわんやになった。シクミネットを導入したときが最も大変だった」

ある地方組織の幹部はこう語る。「シクミネット」とはスキー連盟が2019年に導入した新しい会員登録システム。従来、手書き方式だった登録や申請をデジタル化し、ITで一元管理できるようにした。

8期連続で減少する会員数(現在7万6400人)に歯止めをかけるための導入だったが、高齢化が進む地方では急なIT・デジタル化にとまどい、ついていけない会員が続出。システム変更に伴い、会員がさらに減少した。

「本部は相談にのってくれなかった」

皆川氏はシクミネットについて、東洋経済のインタビュー(スクープ!「スキー連盟クーデター騒ぎ」の真相)で、以下のように語っていた。

「スキー連盟の将来を考えたとき、会員登録のIT・デジタル化は不可欠だったと思います。ペーパーレス化が進んで加盟団体、地域連盟、クラブ担当者の業務を大幅に削減することも目的の一つとし、一定の評価をいただいていました。一時的に会員が減っても、効率的なプラットフォームを構築することが会員離れに歯止めをかけることにつながると思っています」

だが、先の地方組織幹部は不満を口にする。

「確かに長期的に見ればシステムのIT・デジタル化は必要。だが、進め方が強引だった。一人ひとりの会員に接して、やり方を覚えてもらうまで説明を尽くすのは地方組織。うちの組織にも電話での問い合わせが殺到し、職員は対応にふりまわされた。もう少し準備期間、移行期間を長くとってほしいと本部に相談したが、相談にのってくれることはない。こういうことが何度もあった」

日本代表選手の記者会見と有名歌手のライブを同時開催するといった、皆川氏がマーケティング戦略の一環として展開したイベントについても「資金を集めるためとはいえ、有名選手だけにスポットライトをあてて商品化し、地方でトレーニングを積む若手選手の育成が後回しになっている」という指摘が出ていた。

冒頭の皆川氏のコメントにある「まずは中央を立て直し、その次は地方にも恩恵がいくように」という方針が、地方では理解されていなかった。

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