女性蔑視発言、「橋本新会長で決着」の光と影 セクハラ疑惑より深刻な橋本新会長のある悩み
東京五輪組織委員会会長だった森喜朗元首相の女性蔑視発言による会長交代騒動が2月18日、橋本聖子前五輪担当相の新会長就任で決着した。
森氏の後継指名が批判され、就任辞退に追い込まれた川淵三郎初代Jリーグチェアマンのほか、山下泰裕JOC(日本オリンピック委員会)会長らさまざまな後継候補が浮かんでは消えた。
半月にも及んだ混迷の末、女性で、若く、「五輪の申し子」と呼ばれる橋本氏に白羽の矢が立った。ただ、その結末には功罪が入り混じり、国民も期待と不安に揺れている。
開催の可否は聖火リレー開始までに
五輪憲章による「政治からの中立」とはかけ離れ、戦前・戦後の五輪史に絡み続けてきたのが政治だ。今回、「火中の栗」を拾わされた橋本氏がにじませた苦悩は、政治介入をめぐって建前と本音の交錯する五輪の実相も浮き彫りにしている。
2月18日に橋本新会長の就任が決まったことを受け、菅義偉首相は後任の五輪担当相に、女性で同相経験者の丸川珠代参院議員の再登板を決めた。これにより、森発言に端を発した五輪ホスト国の混乱は幕引きとなり、東京五輪開催実現に向けて心機一転での再出発となる。
しかし、新型コロナで1年延期された東京五輪まで、残りわずか5カ月余。国内でも中止・再延期論が圧倒的多数となる中、福島を起点とした聖火リレー開始前の3月下旬までに、国際オリンピック委員会(IOC)との協議で開催の可否や観客の有無などを決めなければならない。
政府や組織委はこれまで、困難な交渉を森前会長にすべて委ねてきた。今後も森氏の水面下での協力は不可欠なうえ、橋本新会長は森氏を父とも慕っている。森氏の影響力は残るとみられるが、表舞台から去った森氏による「院政批判」も免れない。
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