某ファミレス「人気サラダ」の裏側 外食の達人が明かす「中国野菜と外食」の不都合な真実

拡大
縮小
河岸:そもそも、日本に入ってくる輸入野菜のうち、95%は外食・中食に回されるの。スーパーでは輸入野菜は売れないからね。
N君:確かに、スーパーの売り場を見ると、国産の野菜が圧倒的に多いですね。
河岸:じゃあ、輸入野菜はどこに行くと思う?
N君:……外食ですか?
河岸:そのとおり。外食・中食に回されるの。そのうえ輸入野菜の半分以上は中国野菜なの。ということは……。
N君:僕たちは知らず知らずのうちに「中国野菜」を外食でたくさん食べているということですか!? 知らなかった!

下記の図表1と図表2は、日本における輸入野菜の推移を表したものです。出典は農林水産省が発表している「加工・業務用野菜をめぐる現状」(リンク先PDF)になります。

画像を拡大
出典:「加工・業務用野菜をめぐる現状」(農林水産省)、リンク先でpdfを見ることができます。

このグラフを見てもわかるのは、日本に入ってくる野菜の半分以上は中国産であり、輸入野菜のうち95%は外食・中食で使われているという「事実」です。

第1回目「『680円激安ステーキ定食』の裏側」で、「スーパーで売れない2年前の米が外食に回される」という話をしましたが、それと同じ理屈です。

言うまでもなく、スーパーでは中国野菜は売れないのです。だからスーパーでは売れない中国野菜が、必然的に外食に回ってくるのです。スーパーでは避けられているはずの中国野菜の輸入が伸びているのは、ほかならぬ、この理由によります。

生協の宅配をとっていたり自然食品を日頃から買っているような食の意識の高い人は、「うちは中国野菜は買いません!」とよく口にします。しかしそういう人も、外食するときに、野菜を口にすることは多いと思います。

私は何も「輸入野菜が悪い」「中国野菜が悪い」と言っているわけではありません。ただ、中国野菜を避けているつもりでも、知らず知らずのうちに、中国野菜をたくさん食べてしまっている「現状」があることを、お伝えしたいのです。

ただ、第1回目の「ニセモノステーキの見抜き方」、今回の「カット野菜の見抜き方」のように、食べ物の「見た目」だけでも、いいもの、おいしいものを見分けることは十分可能です。新刊の中では、そういう誰でもできるスキルを中心に解説しました。

なぜなら、「一口食べて添加物を言い当てる」というようなプロにしかできない高等テクニック(?)を披露しても、マネできないからです。

新刊の帯裏。舌に頼らなくても「見た目」だけでわかる「裏側」はたくさんある。

一般の人ができる「ちょっとしたコツ」だけでも、みなさんの外食店選びは大きく変わるはずです。そういう「簡単なコツ」はたくさんあります。

ぜひ「外食の裏側」を知ったうえで、「同じ値段でも、いい店、おいしいものを選ぶスキル」を身に付けてください。

新刊はこちら→『「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。』(Kindle版はこちら

河岸 宏和 食品業界を知り尽くした男

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

かわぎし ひろかず / Hirokazu Kawagishi

食のプロや業界関係者のあいだで「食品業界を知り尽くした」と言われる男。大手ハムメーカー、大手卵メーカー、大手スーパー&コンビニ、数々の食品工場での勤務経験から「肉のプロ」「卵のプロ」「スーパー・コンビニのプロ」とも呼ばれる。

1958年、北海道生まれ。帯広畜産大学を卒業後、「農場から食卓まで」の品質管理を実践中。「食品安全教育研究所」代表。
これまでに経験した品質管理業務は、養鶏場、食肉処理場、ハム・ソーセージ工場、餃子・シュウマイ工場、コンビニエンスストア向け惣菜工場、卵加工品工場、配送流通センター、スーパーマーケット厨房衛生管理など多数。

著書に『スーパーの裏側』(東洋経済新報社)、『ビジュアル図解 食品工場のしくみ』(同文舘出版)などがある。
ホームページ「食品工場の工場長の仕事とは」を主宰。 
毎週発行している無料メルマガは、食品問題や事件が起こったときにすぐに解説するなど好評を得ている。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT