時間がないビジネスマンでも利益を出せる
――夕凪さんは、いつからイベント投資を始めたのでしょうか?
2004年頃からです。それ以前にも株式投資をしていたのですが、2000年のITバブルの崩壊をもろに受けて大損してしまいました。その直前にはITバブルの上昇に乗って投資金額が倍になったのですけどね。逃げ遅れて、この儲けをすべて吹き飛ばして、さらに損をしてしまったのです。
当時の投資方針は「いい会社の株を買って半永久的に保有する」といったものでした。しかし、どんなにいい会社であったとしても景気の影響を受けます。株価は下がる時は下がるのです。それでもじっくり待てば数年後に株価は戻るのかもしれません。しかし、その期間を耐えて待つことは私にはできませんでした。そこで投資手法を見直すことを決め、必勝法というものは存在しないものかと探し始めたのです。
そんな時に書店でふと1冊の本「東証1部昇格銘柄を事前にキャッチして資金を5倍にしたJ-Coffee投資法」(あっぷる出版社)と出逢いました。内容は「株式市場にはどうしても決まった日に買わなければいけない事情をもつ人たちがいて、それを狙って利益を出す」というものでした。これは探していた必勝法に近いものではないかとの直感が働き、始めたのがイベント投資の最初です。それ以降、さまざまな研究を行い、株主優待に関する投資法なども見つけて、本書にまとめました。
――やはり…、リーマンショックのときは大損したのでしょうか?逆にアベノミクスは…。
2008年に起きたリーマンショックの株価下落は避けることができました。金融機関の信用収縮は株式市場にひどいダメージを与えることを知っていたからです。戦争や災害が与える影響よりも深刻なものだという認識がありました。2007年の秋ごろにサブプライム問題が発生した時に、これが噂の信用収縮ではないかと考え、そこから徐々に保有する株式を減らしていったのです。実際、リーマンショックを経験してみて、その株価下落は私の想像をはるかに超える恐ろしいものでした。そんな時でも株主優待銘柄の株価下落はまだ優しいほうで、マクドナルドの株価は年末にかけて急速に値上がりし、それに乗っていた私はその年もプラスで終了することができました。
アベノミクスの時には、うまく波に乗れて資産を倍以上にすることができました。2005年の郵政解散による上昇と同じパターンだと気が付いてからは、資産をどんどん株式に投入していったのです。昨年5月に発生した株価急落で損害を受けましたが、それでも利益が十分に残りました。
本書にも書いたのですが、実はアベノミクスのようなバブル的な株価上昇は10年に1~2度程度発生することを知っていて、2005年の郵政解散以来のチャンスを7年ほど待ち続けていたのです。うまく乗ることができて正直ホッとしています。
――夕凪さんの投資法は、ビジネスマンに向いていますね。
はい、相場に1日中張り付く必要のない投資手法ですので、普段の仕事をしながらでも投資をすることができます。私がサラリーマン時代に生み出した投資手法ということもあり、出社前の朝と昼休み中に注文するだけで大丈夫なものばかりです。その代わりに、総じて株価の値動きがゆっくりな銘柄を対象にするため派手さはありません。1日に10~20%くらい動く株を常に売買している方には、もの足りなさを感じるかもしれませんね。
ちなみに、私の投資手法を雑誌の企画でゆうこりん(小倉優子さん)に教えたこともあります。2008年のリーマンショックの年ですので随分と前のことですが。教えた内容は「スタバ株は1月に買え!」そのもので、株主優待の権利付最終日に向けて株価が上昇するのを狙って値幅を取る手法です。彼女の飲み込みが早くて、すぐに投資手法を理解してもらえました。
実際に投資した銘柄はスタバ株ではなく、カゴメとマクドナルドでしたけれど、合計3回投資して3回ともうまく利益を出すことができました。ゆうこりんの売買タイミングがうまかったこともありますが、ビジネスマンよりも更に時間がない芸能人の方でも利益を出せることが証明できて、とても嬉しかった覚えがあります。
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