製薬業界は薬価改定や特許切れ対応、開発パイプラインの拡充と財務戦略に注目《スタンダード&プアーズの業界展望》


 スタンダード&プアーズは、格付け先である武田薬品工業、味の素、そして日本たばこ産業(JT)の医薬品事業も分析対象としている。今回の薬価改定による全社収益への影響は今のところ限定的だろうが、各社のグループ成長戦略上、医薬品事業の位置づけが変化する可能性に留意する必要があると考えている。

一方で、薬価制度に新たに導入される「新薬創出・適応外薬解消など促進加算」により対象品目の約半分の薬価が維持された。特許期間中の新薬の価格低下を抑える薬価制度は、武田など新薬メーカーのパイプライン拡充意欲の向上につながる点で、事業リスク上ポジティブである。

米国での特許切れに対する戦略が信用力を左右

スタンダード&プアーズは、国内大手製薬メーカーが成長を維持するには、世界の医薬品市場の4割弱を占める米国を中心に、海外市場で収益を継続的に拡大させることが重要、と考える。11年前後にはグローバルに展開している大手製薬メーカー各社の、米国での主力品の特許切れが相次ぐため、信用力を左右する最大の要素は、引き続き特許切れリスクに伴う事業戦略である。

後継品のタイムリーな上市や他領域の製品の売り上げ拡大によって、収益成長を維持できるかどうかが、各社の中期的な信用力を左右するとみている。製品と新薬開発パイプラインの拡充度、収益成長性、研究開発効率の向上、それらを達成するための財務方針に着目している。

潤沢に蓄えてきた手元流動性を大型買収や自社株買いで減らしている日本の新薬メーカーの信用力は全般的に、低下傾向にあると考える。財務体質を悪化させる一連のM&Aは、短期的な事業プロフィールの向上にはつながらず、依然として、特許切れによる収益急減のリスクのほうが大きい、とスタンダード&プアーズは考えている。

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