製薬業界は薬価改定や特許切れ対応、開発パイプラインの拡充と財務戦略に注目《スタンダード&プアーズの業界展望》

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事業法人・公益事業格付部
上席アナリスト 天野待知子

欧米での新薬の特許切れ問題が「2010年問題」として注目を集めている。新薬メーカーは主力薬への収益依存度が高いため、主力薬の特許切れはクレジットリスク要因となりやすい。スタンダード&プアーズは特許切れによる収益へのマイナス影響を後継薬、その他新薬の収益拡大でどの程度緩和できるか、パイプラインの最終段階にある品目の収益見通しなどに留意している。国内では、今年4月から、薬価改定に伴い「新薬創出・適応外薬解消など促進加算」を試行的に導入する一方、長期収載品の追加引き下げ幅を拡大することが決まった。大手製薬メーカーは新薬創出への取り組みを一層推進するとみられる。

薬価改定の影響で、収益環境の厳しさ続く

医療費抑制政策や薬価改定の影響により、国内の製薬メーカーを取り巻く事業環境は厳しさを増している。今年3月5日に厚生労働省が告示した薬価改定によると、4月1日実施の薬価の引き下げ幅(薬価ベース)は平均で5.75%と、前回08年の5.20%を上回る。市場拡大再算定(当初の予想より売り上げが大幅に伸びた医薬品の薬価を引き下げる制度)の適用や、すでに後発薬(ジェネリック)が販売されている特許切れの先発医薬品(長期収載品)の価格を追加で一律2.2%引き下げることも決まった。長期収載品への依存度の高いメーカーは言うまでもないが、長期収載品の追加引き下げによって価格メリットが薄れるジェネリック薬メーカーにとっても、収益環境は一段と厳しくなると予想される。

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