「コロナ禍生活楽しめる人」そうでない人の違い 「永久在宅ワーク」に備える生活様式や心構え

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さらには、そもそもインドアで、出かけないことを苦痛と感じないどころか、むしろ休みの日を含め、心おきなく家にいることができ、精神的に楽。サブスクなどで動画を見たり、音楽を聴いたり、ゲームをしたり、こんな夢のような生活でいいのだろうかという話もよく聞きます。

1人暮らしや家族と同居の方、いずれにも多いのが、外食が減り自炊するようになって、体調がよくなった。料理が楽しくなりレパートリーも増えた。ネットや料理本でレシピを見ながら新しい料理に挑戦する。休みの日は手の込んだ料理を作るのが楽しみ。家電をそろえたり、食器にも興味を持つようになったというものです。

それ以外にも、外食費や交際費が抑えられ、残業代などの収入は減ったが貯金は増えた。子どもと関わる時間が増えて、子どもたちの気持ちが安定している。家族に笑顔が増えた。マスクをするので、化粧が薄くなり肌の調子がすこぶるいい。手洗いうがいを徹底しているせいか、月に1度は風邪っぽい症状があったのが、最近全然風邪をひかない。

いつも年間の中で、気持ちが沈む時期があるが、身体が楽なせいか今年はそれがない。実家には戻らないが、その分、今までよりもSNSや電話で親や家族と話す機会が増えて、家族らしい関わりが増え、気持ちが豊かになった。

付き合いでのお酒が減り、健康診断の結果が改善された。トレーニングジムは続かなかったが、家でYouTubeを見ながら自重トレーニングをしたら理想の体型になった。今まで手を付けられなかった断捨離をして、不要なものを捨て生活がシンプルになり、気持ちにまで余裕ができた。

など、挙げればきりがないほど、制限のある中での生活を謳歌している方々がたくさんいます。

主体的に意思を持ち、よりよい生活を目指す

もちろん、医療やサービス業など、負荷の大きい職種の方々はたくさんいらっしゃると思いますが、そうでない方々は、安心安全の中で自分の生活を充実させながら、経済を回すことも可能です。例えば、家庭で料理をすれば食材だけではなく、家電や食器が欲しくなるといったプラスのエネルギーは消費への原動力にもなります。

また、これを機に副業を始める人も増え、経済の柱を複数持つということも、これから変化の大きい時代を生き抜いていくためには必要なことかもしれません。とはいえ、楽をして儲かるなどというたぐいの話には乗らないことが賢明で、地道に少しずつ積み重ねていくものが理想的かとは思います。

現状を嘆くのではなく、現状を受け入れ、その中での楽しみとやりがいを見いだすことができるかどうかが、いずれにしても重要です。結局のところ、どう生きるかは環境や外部の圧力ではなく、自発的で内在的な意思が大きく影響することは間違いありません。

今の生活に不満があると、誰かや何かのせいにしたいという気持ちは自然なことでもありますが、いつ終わるともわからないコロナとの戦いや、これからさらに予測不能な未来のためにも、自分が主体となり選択をする意思を持って、よりよい生活を目指していきたいと自戒を込めて思います。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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