社会の「分断と対立」がここまで加速している訳 オンラインライフの想像を上回る弊害の正体
れいわとN国党を叩く構図の正体
「れいわ新選組」と「NHKから国民を守る党」の新興2党の躍進は、同時に〝アンチ〟と呼ばれる人々の出現を招きました。客観的に見れば、両党ともわずか国会に2議席しかない弱小政党ですが、前者は「ファシズムの兆候」「危険な極左政党」、後者は「民主主義の破壊」「カルト集団」などと執拗に叩かれました。
実のところ、このようないびつな構図は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的流行)になって以降、些細な出来事でも簡単に発火するようになったネット炎上においても見いだせるものです。これを解くカギは「再部族化」と「感情の動員」です。
これはジャーナリストのジェイミー・バートレットが「再部族化行為」(リ・トライバリゼーション)と名付けた現象です。この場合の部族とは、同じ思想や趣味などで群れる集団を表す「〇〇クラスター」とほぼ同義です。なぜ「再部族化」なのかといえば、「大昔の部族」が単に地域に根差したコミュニティにおける結束だったとすれば、「今の部族」はネットという電子空間に根差したコミュニティにおける結束だからです。
バートレットは、多くの人々がソーシャルメディアに接する中で、これまでネットを検索しなければ知らなかった情報などに触れて、そこで出会った他者たちと「共通する不平意識」を発見し、その「怒り」が強い連帯意識を生み出している事実に着目しました。「現代においては、人を問わず、誰もが虐げられたり、激高したり、あるいは抑圧されたり、脅かされたりしていると感じて当然の理由を山ほど抱え込んでいる」(前掲書)からだというのです。
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