「英語ガイドする小学生」に学ぶ言語習得8原則 外国語は早期教育を行ったほうが有利なワケ

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  • 原則8 英語で内容を楽しむことを重視し、内容重視の活動が英語習得につながる

言語の本質は情報や感情を伝えることであり、その内容と言語の関係は切っても切り離せない関係にあります。

従来の日本の英語教育の多くは、発音、語彙、文法について学んだが、それを使って表現されている英語を「聞く、話す、読む、書く」活動を通して内容を深めていくことが欠如していて、言語の本質から逸脱していたと言えます。

その反省から、最近の日本の英語教育でも、内容重視指導 (CBI)や内容言語統合型学習(CLIL)と言った手法が取り入れられています。

8つの原則を満たすには早期学習が有利

これらの8つの原則を満たすには、早期外国語学習の方が従来の形態よりも有利であると言えます。

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第一に、早い時期のほうが学ぶ内容と言語の知識のギャップが少なく、例えば小さい時に英語で絵本を読むほうが、求められる認知的レベルと英語レベルの差が少なく、英語で意味を把握しやすいはずです。そのため、原則1と2にある意味と言語の結び付けも容易にできるはずです。

しかし、それが小学校高学年になると、子どもの認知的レベルが高くなって、やさしい英語で話されたり書かれたりした内容に興味が示せなくなってきます。そうすると、この2つの原則だけでなく、原則6と8も満たすのが難しくなります。

第二に、早い時期から始めれば原則3、4、5にあるインプット・アウトプット・インタラクションのそれぞれの量も多くなります。早期英語学習の利点は総時間数を確保でき、継続的な学習が可能であるということです。

第三に、英語学習よりも、むしろ英語使用を重視した早期英語活動では、原則7の暗示的知識を習得しやすいという利点もあるでしょう。

このように早期英語学習・教育は、外国語習得の8つの原則によく当てはまり、拓土くんの家庭では無意識のうちにこの原則を実践していたことになります。

原田 哲男 早稲田大学教育・総合科学学術院教授

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はらだ てつお / Tetsuo Harada

早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専門は応用言語学。なかでもバイリンガルの第二言語習得、イマージョン教育の音声習得、内容重視の言語教育を中心に研究。1984年早稲田大学教育学部卒業。1987年筑波大学、1992年ロンドン大学修士課程修了。1999年カリフォルニア大学で博士号取得。オレゴン大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で教鞭を執り、現職。最近の論文にAnalyzing Discourse in EMI
Courses from an ELF Perspective (Palgrave Macmillan)などがある。

 

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