「英語ガイドする小学生」に学ぶ言語習得8原則 外国語は早期教育を行ったほうが有利なワケ

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次に、拓土くんのお母さんは「子どもの興味」に触れていますが、これは英語学習を持続させるために最も大切な点です。次のような原則に結び付きます。

  • 原則6 学習者個人の心理的要因(動機付け、学習スタイル等)を考慮に入れる

お母さんは、拓土くんの英語の絵本を選ぶ時も、何を喜ぶかを慎重に考え、もし興味を持てば、日本語の本を与えるということもしていたそうですが、まさに動機付けを高めるためには、両言語をバランスよく使っていくことも大切です。

また、英語を学ぶのでなく、好きな絵本を楽しむために英語を使うという行動がより良い動機付けにつながるということです。さらに、英語で絵本を読む認知的な活動が自分の知的レベルにも相応し、また時には観光ガイドのような高い認知レベルが要求される活動がうまくいくと、成功体験を得てさらに高い学習動機につながったのではないでしょうか。

また、お母さんは「拓土にとって英語は、赤ちゃんのころから周りに存在していた『言葉』で、『勉強』ではありませんでした」と言っていますが、これは心理的要因からも非常に大切なことです。勉強になってしまうと親も子も力が入ってしまい、ストレスにもなり継続が難しくなります。

不可欠なのは「暗示的知識」

さらに、このように使いながら学ぶことは次の原則に結び付きます。

  • 原則7 外国語習得は暗示的知識を身に付けることであり、明示的知識は外国語能力に直接結び付きにくい。

この2つの知識は耳慣れないことかもしれませんが、暗示的知識とは意識や注意をせずに使える知識や技能を指し、明示的知識とは意識や注意を払うことによって使える知識や技能のことを言います。

教室で学ぶ英語についての知識は明示的知識に当てはまりますが、外国語に不可欠な知識はまさに意識せずに使える暗示的知識です。使いながら学ぶことは暗示的知識につながり、例えば母語話者が英語の文法知識に疎くとも、普通に英語が使えるというのは暗示的知識が豊富にあるからです。

明示的知識が暗示的知識に転移するという考え方もありますが、多くの時間と練習が不可欠です。

さらに、拓土くんの家庭では以下のことをこころがけていたそうです。

• 英語圏の同年代の子どもが見ているアニメを取り入れる
好きなもの、 ハマっているものに英語を連れてくる
「知っておいてほしい」 と思うものをプラスする
「日本語でも与えたいもの」 かどうかを重視する
「英語観光ガイド(岡山後楽園)」 でコミュニケーション力を磨く

ここで共通していることは、徹底して与えるものの内容にこだわっていることです。これは次のような原則を十分に満たしていると言えます。

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