九州の高校生が台湾のデジタル大臣と白熱議論 唐鳳氏にぶつけた「デジタル社会で生きること」

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AIが進むことでシンギュラリティー(特異点)が生じ、人間を超えるのではないかという見方がある。唐鳳氏は、仮にシンギュラリティーが生まれたとしても、それよりも民主的な人間社会をつくることが大事なのだと説明する。
――AIや情報社会が過剰に進展した場合、人間への負のダメージ、例えば現在形でいえば不必要な情報の氾濫、未来形でいえばシンギュラリティーやAIが人間の思考を超越するといったことを危惧する人がいます。ITを中心としたテクノロジーについて、人間が情報を操っているのか、それとも技術が人間を操っているのか、どちらだとお考えですか(東筑高校)
 
実際には、一部の人類は技術を使って他の人類を操っていますね。「全体主義」(totalitarianism)というのがあります。少人数あるいは一人の独裁者がすべての人々を操ろうとするものです。
 

しかし、現在のような技術が出てくる前には、一度に操れる人数に限りがあったり、すべての人を操れたとしても短期間にとどまるという限界がありました。それが技術の発展で、部分的ではなく本格的に全体主義に基づいてコントロールすることができるようになっています。それは、中国の新疆ウイグル自治区などでも見られます。

民主主義の継続的な発展がデジタル社会に重要だ

人類が技術を操り、その技術で人類を操ることができるようになっています。しかし、問題は技術そのものではなく、なぜ技術が特定の人類、例えば特定の政府や特定の資本家などに集中して与えられるのかという部分です。

技術を設計する際には、誰もがその技術の使い方を理解し、知っているという状況を確保しなければなりません。例えば、先ほどの料理の例のように、少人数だけが火を使う技術を掌握していて、彼らに教えを請わなければ火を通したものを食べられないというようなことがないように、誰でも料理ができるようにしなければなりません。民主主義が継続的に発展できれば、多元性(plurality)が生まれ、シンギュラリティーのコントロールを受けることはないと思います。

日本でもプログラミング教育が本格化している。「プログラミングをする」ための根本的な考えを、唐鳳氏は高校生に伝授した。

――プログラミングの第一線で必要とされる人材になるためには、どのような能力が求められますか。また、私たち高校生は何から始めればよいと思いますか(全国の高校生から事前に募集した質問)

プログラミングは台湾では「プログラムデザイン」といい、それはデザインの能力であって「ソフトウェアエンジニアリング」という工学の能力ではありません。

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