九州の高校生が台湾のデジタル大臣と白熱議論 唐鳳氏にぶつけた「デジタル社会で生きること」

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私が着ている服は回収されたペットボトルとコーヒーの残りかすを再利用したものからできています。こういった循環経済や再生可能エネルギーの活用例を、デジタルを活用して「こんなことができるんだ」と知ってもらうことで、商品やサービスの内容だけでなく、理念さえも全世界に広められるのです。

そして、理念を全世界に広められれば、自ずと適切な場所で深く根付いて芽が出るはずです。これこそがソーシャルイノベーションなのです。このソーシャルイノベーションこそ、人と人とをつなぐデジタルで最も大切な部分とも言えます。そして、一を知って他を類推するように、他の地域でのイノベーションを自分の地域で適用できるということについて、多くの人が気づいていくでしょう。

デジタルとは人に合わせるもの

デジタル社会は時代の流れとはいえ、急速なデジタル化に抵抗する人たちがいる。政府閣僚として反対する人たちをどう説得するのか。反対する人たちからの反応こそ、改善を促すのだと唐鳳氏は言う。

――意見の違う政治家やIT化に反対する人がたくさんいる中で、リーダーとしてチームをまとめる時に意識していることは何ですか(佐賀西高校)

最も大事なことは、デジタルというのは人に合わせるものであって、人がデジタルに合わせるものではないということです。したがって、今あるデジタルの方法を直接公表し、それに対して「バカげている」「ダメだ」と思う人がいるのなら、その人のほうが知識があるということです。ですから、その人たちを歓迎し、直接訪問したりして、彼らが持っているより高い知識を使って、どのような方法なら受け入れられるのかを教えてもらうということが重要です。

例えば台湾で行われたマスクの配布方法について、私の88歳のおばあさんが77歳の友達と一緒に、私にこんなアドバイスをしてくれたことがあります。マスクをコンビニと薬局で販売できるようにした際、コンビニでも薬局で入手する方法と同じにすれば安心だ、というのです。それは、健康保険証をコンビニで見せて小銭で支払うことにすれば、銀行口座からお金が勝手に引き落とされないか、詐欺に遭うのではないかと心配せずに済むからという理由です。

非常に知恵があると思います。しかも、彼女の意見が採用され彼女たちが納得すれば、自分たちより年下の66歳や55歳の人たちも説得してくれるのです。つまり、初めから強く反対する人たちをデザインする仲間として引き入れることで、そこでできあがったものはみんなにとって同じものになるというわけです。

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