東大卒なのに「生きづらい人」が陥る3つの失敗 学歴を気にした時点で「人生ハードモード」だ

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やってはいけない3:自分と他者とを比べる

今の時代、SNSを数分も眺めていれば、自分以外の人の成果と評価が怒濤のように流れ込んでくる。とりわけ東大関係のコミュニティーに所属していると、やはりそれなりに優秀な人が多く、自己実現と社会貢献を両立させる同窓生の情報に多く接することになる。彼らが、自分よりもどんなに「幸せ」な人生を歩んでいるように見えることか。

しかし、他者との比較で自分の人生を評価することは健全ではないし、その差を埋めたいというモチベーションを推進剤にして自分の人生を歩むべきではない。嫉妬や憤りでエネルギーを浪費する必要もない。

幸せを求めすぎることは、幸せでない苦しみを生んでしまう。そもそも、表面的に見えている他人の幸せは、自分にとっての幸せと同じものなのだろうか。そうではないだろう。

他人の成功や評価にどのような背景があったか、本当のところはわからない。その人の能力が環境にハマっただけかもしれないし、大きな犠牲を払って得たものかもしれない。たまたま運がよかっただけなのかもしれない。外に向けて見栄を張っているだけかもしれない。

幸せの判断基準が自分の中にあれば、他者との優劣で自分を評価するようなことはなくなる。自分と他者とを比較するのでなく、過去の自分と現在の自分とを比較して、目標の達成状況や自らの成長について振り返るほうがよっぽど有益だ。

「東大卒らしく生きよう」としてはいけない

東大受験やその後の進路の選択(東大では2年生前期までの成績によって希望する学部・学科に進学できるかどうかが決まる)では他人との競い合いだったから、東大卒の人はどうしてもその感覚で他人と自分とを比べてしまいがちになるが、これを意識してやめよう。他者に集中せず、自分だけに集中しよう。これを月並みな言葉で言えば、「自分らしく生きる」ということになる。決して、「東大卒らしく生きよう」としてはいけない。

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東大卒の学歴はある種の認定証のようなものだ。「東大入試に合格して、東大で学んで、卒業しましたよ」という証し。しかし、それ自体にあまり意味はないし、実は社会に出てからの使いどころもない。実用性と言えば、せいぜい「東大図書館に面倒な手続きなしに出入りできる」くらいのもの。その程度のものに精神を縛られ、生きづらさを感じている東大卒業生のなんと多いことだろう。

以上の3つを知っておけば、それだけでいくらかでも気分が楽になり、避けうる不幸もあるはずだ。

池田 渓 ライター

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いけだ けい / Kei Ikeda

1982年兵庫県生まれ。東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程中退。フリーランスの書籍ライター。共同事務所「スタジオ大四畳半」在籍。

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