横浜「キリンとチーター」が共存する動物園の今 希少動物の宝庫でもある「ズーラシア」を探訪

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北海道・札幌の円山動物園で生まれ、釧路動物園に移った後にズーラシアにやってきたツヨシには、その成長をずっと見守ってきたファンが北海道から訪ねてくることもあるのだとか。

ツヨシ以前に飼育されていたメスのホッキョクグマが死亡した時は献花台が設置され、多くの人が献花に訪れた。

絶滅が危惧されるホッキョクグマ

ホッキョクグマは絶滅危惧種。野生のホッキョクグマも、国内での飼育頭数も年々減り続けているなかで、ジャンブイとツヨシも繁殖を目指してつがいで飼育されたが、実現には至らなかった。現在は、国内のホッキョクグマを飼育する園と情報を共有し個体を各園間で移動させながらの繁殖の取り組みが行われている。これは、他の絶滅危惧種の動物に関しても同様だ。

さらに、ズーラシアの隣には希少野生動物の飼育・繁殖と種の保存に関わる調査・研究を行う日本最大の施設「横浜市繁殖センター」がある。ズーラシアからも動物の精子、卵子提供などを行っている。

動物の赤ちゃん誕生や初公開、命名イベントは、新聞やテレビ、ネットでもニュースになり、集客効果もある。今は動物の誕生日イベントも盛んで、ケーキのようにデコレーションした餌をプレゼントするといったイベントはズーラシアでも行われている。
そうした様子や動物たちの何気ない日常などは、各動物の飼育員のブログでも盛んに発信されていて、楽しみにしているファンも多い。

ズーラシアは、その動物を取り巻く環境をよりリアルに感じられると同時に、個々の動物の素顔を垣間見ることができる、「生き生きとした」動物園だった。

鈴木 伸子 文筆家

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すずき のぶこ / Nobuko Suzuki

1964年生まれ。東京女子大学卒業後、都市出版『東京人』編集室に勤務。1997年より副編集長。2010年退社。現在は都市、建築、鉄道、町歩き、食べ歩きをテーマに執筆・編集活動を行う。著書に『中央線をゆく、大人の町歩き: 鉄道、地形、歴史、食』『地下鉄で「昭和」の街をゆく 大人の東京散歩』(ともに河出書房新社)『シブいビル 高度成長期生まれ・東京のビルガイド』(リトル・モア)などがある。

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