高田馬場、「汚くうるさい学生街」以外の一面 行列店「べんてん」と「二郎」は閉店したが…

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手塚治虫ゆかりの駅・高田馬場(写真:筆者撮影)
東京の中心をぐるりと囲んでいる山手線。最近は新たなE235系車両が登場し、品川と田町の間には新駅も開業予定。都心の開発が進むことで車窓風景も変化していく。一方で、今も残る昭和の香りや江戸からの歴史あるスポットも点在する。
本稿ではそんな表情豊かな各駅の魅力を、全29駅の散歩ガイド『山手線をゆく、大人の町歩き』から一部抜粋しお届けする。

 

高田馬場の街は昔から大嫌いだった。駅前にはパチンコ屋や雑居ビルが並び、街が汚い。学生や若者が群れて歩いて道をふさぐ。学生街であるはずなのに駅近くに大学があるわけではなく、知性の感じられる雰囲気でもない。とにかく何か魅力的と思える要素が見つからないのだ。

ここはマンモス大学である早稲田大学の最寄り駅でもあるのだが、高田馬場駅から早稲田の本部キャンパスまでは歩くにはけっこう遠い。駅前から出ている学バスに乗って行くか、地下鉄東西線で1駅目の早稲田駅から通学している学生が多いはず。

しかし多くの早大生がこの駅を通過するために、毎年新入生が入学する4月から5月にかけては駅前が大混雑する。特に新歓コンパの季節は、駅前ターミナルの広場が待ち合わせ場所となり、プラカードを持った幹事が何十人もの学生を会場である店まで先導している様子をよく見かける。だが、5月もなかばになると、新入生がだんだん学校に来なくなるのか、駅前の人出は一気に減る。

すっかり「B級グルメの都」

学生街であるゆえ、ここはもともと安くてボリュームのある食べ物屋の多い街だったが、このところ高田馬場はすっかり「B級グルメの都」となっている。ラーメンの有名店が何軒もあるほか、増えているのはなぜか“とんかつ”店。それも食べログやグルメ雑誌で高評価の店が並ぶ“とんかつ激戦区”となっている。新宿区ならではのアジア各国のエスニック料理の店も多く、なかでもミャンマー料理の店が多いのが特徴。ベトナム名物のバインミーサンドイッチのおいしい店もある。

永年不思議に思っているのは、駅前の西武線ガード下あたりにある昼間はそば屋で夜は寿司屋になる店。そして、「宮内庁御用なし まずい魚青柳」という魚料理の店があって、けっこう旨かったりする。最近私は高田馬場がこのような飲食店充実の街であることを発見し、食べ物に釣られやすい性質のため、すっかり馬場びいきへと転じている。

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