高田馬場、「汚くうるさい学生街」以外の一面

行列店「べんてん」と「二郎」は閉店したが…

ここ数年の高田馬場の飲食業界における“事件”と言えば、この街の行列店の双璧だったラーメン店「べんてん」と「二郎」の両店が閉店したこと。その後、神田川に架かる高塚橋に近いローストビーフ丼の店には日々長蛇の行列ができるようになり、大手ファミレスなどもこの店のメニューを真似た料理を出すようになった。

とんかつの店で馬場で一番の人気店であり行列店の「成蔵」には、どこからグルメ情報を得て来るのかわからないが、台湾人、韓国人のお客さんも多く、馬場はあらゆる面でインターナショナルなグルメ街となっている。

街のあちこちを探検する

そうして馬場食べ歩きをしていると、街のあちこちを探検することになり、その地形や路地のおもしろさにも目覚める。高田馬場駅近くには神田川が流れ、山手線は駅の池袋側でその流れを渡っている。そのあたりから駅に向かっては急な上り坂、さらに新宿方向に向かって上り地形は続いていて、川があるから低地と思い込んでいた駅周辺が案外そうでもないことにも気づいた。

子どもの頃、隣り駅の目白住民だった私が高田馬場駅のホームから見たものといえば、駅前の質屋「スズヤ」の広告である「ヌード噴水」。貴ノ花とヌード姿のマリリン・モンローが相撲をとっている像のまわりに噴水が吹き出しているという摩訶不思議なものだった。

そして、やはり駅ホームから見える「さかえ通り」という看板のある飲食店街の入口には猥雑な雰囲気が漂い、小学生だった私は、池袋の風俗街よりも新宿の歌舞伎町よりも、さかえ通りに近寄ったら誘拐されるか犯罪に巻き込まれると確信していた。絶対近寄ってはいけない、この世で一番恐ろしい場所がさかえ通りだった。

筆者が幼少期恐れていたさかえ通り(写真:筆者撮影)

それから数十年、それと同じ人間が今は日夜さかえ通りを徘徊して居酒屋に入ったり“とんこつラーメン”を食べたりしているのもこの世の不思議。

さかえ通りをひたすらまっすぐ歩いていくと、神田川の流れに行き合う。ここから山手線の神田川鉄橋のあたりは川幅が狭く、一時期までは大雨や台風が来るたびに川沿いの家や店舗が水害に遭ったり、西武新宿線の線路が冠水したりしていた。

その後河川改修が行われて、分水路や貯水池ができて高田馬場付近での洪水はなくなったが、近ごろの都市ではゲリラ豪雨というものが起こるのでまだまだ安心できない。

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