高田馬場、「汚くうるさい学生街」以外の一面 行列店「べんてん」と「二郎」は閉店したが…

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高田馬場駅前の鉄道風景は活気に満ちている。JR、西武新宿線のガードがあり、つねにガタンゴトンという走行音が響き渡る。また、駅直前では、その両線が神田川を渡る鉄橋風景も見られる。

そのJRと西武線の駅前ガード下には、手塚治虫のアニメキャラクターが満載された壁画が描かれているのが楽しい。JR高田馬場駅では、駅の発車メロディも「鉄腕アトム」のテーマソングだ。これは手塚プロダクションが高田馬場にあることに由来している。

駅名の由来

JR高田馬場駅の改札口名は、北口、南口ではなく、早稲田口と戸山口。その大きなほうの早稲田口から駅構内に入ると、改札前の天窓下には馬の彫像の乗った駅開業80周年に設置された「馬時計」というものがある。明治43年に駅が開業したとき、忠臣蔵でも有名な堀部安兵衛の高田馬場の決闘が行われた場所が比較的近かったことにより、この駅名が付けられたとか。

見上げないと気づかない馬時計(写真:筆者撮影)

ホームの目白寄りからは、西武新宿線が神田川鉄橋を渡って急勾配を上り、ホームに入ってくる様子がよく見える。

西武線は神田川の手前で急カーブを曲がりながら高架への急勾配を上り、山手線と交差しながらそのまま線路を上り続けるというアクロバティックな走行を見せる。駅前のガード地点においても、よく見るとホームに向かってまだ勾配を上っているのがわかり、その姿は健気だ。

『山手線をゆく、大人の町歩き (河出文庫)』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

神田川まで各線の鉄橋の様子を見に行ってみると、上流側のJR、下流側の西武線でそれぞれ線路まわりの趣が異なる。やはり勾配とカーブが魅力的なのは西武線。しかし線路まわりはビルに囲まれ、その華麗なる走行ぶりが見渡せないのが残念。

西武線が駅に近づくあたりの線路下には飲食店が並び、昭和の横丁的な街並みが見られるのもいい。

JRホームの新大久保寄りガード下には戸山口という小さな改札口があって、こちらは早稲田口とはまったく違う雰囲気なのがおもしろい。

鈴木 伸子 文筆家

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すずき のぶこ / Nobuko Suzuki

1964年生まれ。東京女子大学卒業後、都市出版『東京人』編集室に勤務。1997年より副編集長。2010年退社。現在は都市、建築、鉄道、町歩き、食べ歩きをテーマに執筆・編集活動を行う。著書に『中央線をゆく、大人の町歩き: 鉄道、地形、歴史、食』『地下鉄で「昭和」の街をゆく 大人の東京散歩』(ともに河出書房新社)『シブいビル 高度成長期生まれ・東京のビルガイド』(リトル・モア)などがある。

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