【産業天気図・精密機器】精密機器業界は法人需要鈍く前半「曇り」、デジカメ小幅増期待で「晴れ間」も

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10年4月~9月 10年10月~11年3月

精密機器業界はデジタルカメラ等の価格下落と事務機などの法人需要低迷で、前半「曇り」の見通し。後半には業界景況感に明るさが戻りそうだが、回復は依然ゆるやかなスピードとなりそうだ。

CIPA(カメラ映像機器工業会)の統計によると、2009年(1~12月累計)のデジタルカメラ出荷実績は1億590台(前年比11.6%減)だった。うち、レンズ一体型の「コンパクトデジタルカメラ」は9600万台(前年比12.8%減)、レンズ交換式の「デジタル一眼カメラ(マイクロフォーサーズシステムやユニット交換式カメラ含む)」は990万台(前年比2.3%増)だった。先進国では買い替え需要がメインのコンパクトデジカメは不況の煽りも受け減少したが、一眼レフなど高付加価値タイプのカメラは伸びた。2010年(1~12月累計)の出荷見通しは、コンパクトで9890万台(前年比3%増)、一眼で1100万台(同11.1%増)と成長が期待されている。

このうちキヤノン<7751>は、一眼レフの初級モデル「EOS Kiss」シリーズが好調。動画も撮れる「EOS Kiss3」が09年の業績を牽引した。キヤノンと一眼レフのシェアを二分するニコン<7731>も、初級モデルを中心に堅調。苦手だったコンパクトでも、米国での販促活動が奏功しシェアを伸ばし始めている。2月末に発表したコンパクトの春モデルでは、カラーバリエーションの充実にこだわり、女性ユーザーの取り込みを図る。

一眼に強いメーカーが安定的に稼ぐのに対し、コンパクトがメインのメーカーは苦しい。先進国で需要が一巡したコンパクトは、店頭での価格下落が顕著だ。各社は外注比率を上げるなど、コストダウンを図る。だが台数で稼げなければ、コストは取り戻せない。カシオ計算機<6952>やHOYA<7741>(カメラはPENTAXブランド)は、年末商戦で苦戦。高速連写や動画との合成と、高機能にこだわるカシオは、欧米での浸透が思うように進まなかった。組織のスリム化で黒字化を期待されていたPENTAXも、コンパクトの商品ラインナップに魅力が足りず苦戦した。両社ともラインナップの見直しで再起をかけるが、競争は厳しさを増している。

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