【産業天気図・精密機器】精密機器業界は法人需要鈍く前半「曇り」、デジカメ小幅増期待で「晴れ間」も

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 そんな中、注目を集めるのが「ミラーレス一眼カメラ」と呼ばれる新たな市場だ。オリンパス<7733>とパナソニックが共同で作った新オープン規格「マイクロフォーサーズシステム」の小型一眼カメラがその代表。昨年、オリンパス、パナソニック共にミラーレス一眼を発売、国内一眼市場の2割へと急浸透した。一眼レフカメラのミラーをなくし、本体重量300g以下と小型・軽量化を実現した。今年に入り、韓国サムスン電子がミラーレスの新製品を発表。ソニーも年内に製品発売を予定するなど動きが活発化している。今後は一眼レフの主要メーカーもミラーレスを無視することはできないだろう。ただ、先行のオリンパス、パナソニックとも、海外展開には苦戦しているもよう。オリンパスのPENは高級感のある外装など、かなりのコストがかかっていることもあり赤字だ。サムスンやソニーが海外でどう市場を作るかに、ミラーレス一眼の将来がかかっている。

カメラ市場が熱を帯びる一方、オフィス機器市場は鈍い。複合機の需要は依然底ばい。事務機が主力のリコー<7752>によると、中小企業を中心に顧客の投資は鈍い。稼ぎ頭だった保守サービスも、カラーコピーの抑制が響き想定以上に回復が遅れている。同事業を持つ、富士フイルムホールディングス<4901>(事務機部門は子会社の富士ゼロックス)やコニカミノルタホールディングス<4902>、キヤノンも、回復は一様に鈍い。こうした状況を打破しようと、各社は新たなサービス、製品の拡充を強化している。

ひとつは、オフィス向け事務機事業の派生形であり、「クラウド」による一元管理サービスだ。たとえばリコーは、今年1月よりクラウド対応事務機用ソリューション「App 2 Me(アップトゥーミー)」の提供を開始した。これは、クラウド上で活用されている情報の保管・共有、給与計算などの多数のアプリケーションに事務機を対応させるサービス。個人のIT端末にダウンロードするだけで使える点が特長だ。文書の一元管理など本格的なサービスの提供は2010年中としており、体制構築を急ぐ。

もう一つは、「デジタル商業印刷機」と呼ばれる業務用印刷機だ。複合機の出力スピードや色再現性を高め、カタログやダイレクトメールといった業務用の印刷物に使われる。多品種少量印刷を得意とし、よりメッセージ性の高いダイレクトメールが作成できる。日本ではまだ馴染みが薄いが、米国では市場が拡大中だ。この分野で先行するのは富士ゼロックス。低速機から高速機までのラインナップを自社グループで開発・供給している。他メーカーがそれに追随する。キヤノンは今春、業務用印刷機大手のオセ社(オランダ)を取り込み、高速機のラインナップを拡充を図る。この買収を受け、08年来オセと提携していたコニカミノルタは、業務用印刷機の共同開発および製品化活動終了を発表。今後は「ラインナップ拡充を迅速化するために他社との提携も検討している」と言う。なお、高速機を得意とするメーカーには、米コダック社などが挙げられる。

後続メーカーがラインナップをそろえ、スタートラインにつく日は近い。停滞するオフィス市場に革新的な一手を打ち込めるか。各社の手腕が問われている。

(前野 裕香)

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