記憶力が「人間力にもつながる」その驚きの理由 知られざる「非認知能力」の重要性
脳の中の部位で「側坐核」という場所があります。「海馬」や「扁桃体」と同じく情動に関わる「大脳辺縁系」というエリアの中にあるのですが、この側坐核こそがやる気に関わっている部位なのです。つまり、この側坐核が刺激されるとやる気が生まれるという仕組みになっているのです。しかしそうはいっても、この側坐核、実に鈍く、なかなか簡単には反応してくれないという性格を持っています。
ところがこの側坐核というやる気スイッチを意識しなくても、自然とやる気が出る仕組みがほかにもあります。そのカギを握るのが「好奇心」なのです。子どもがゲームやアニメのキャラクターの名前や電車などの乗り物の名称や型式など、大人のこちら側が驚くほどの記憶力をみせることがあるのはご存じの方も多いでしょう。なぜあれほどの記憶ができるのかというと、そこに対象への好奇心が存在しているからです。
好奇心が内発的動機づけを高める
ここで少し「動機」づけについてお話ししたいと思います。動機づけというより最近では「モチベーション」という言葉のほうが一般的には浸透しているかもしれません。このモチベーションの種類には大きく2つあり、1つは外発的動機づけ、もう1つは内発的動機づけというものが存在します。
外発的動機づけとはどんなものかというと、報酬に対して生じるモチベーションのことです。要するにご褒美目当てで頑張る意志のことです。それに対し内発的動機づけとは、報酬目当てでなくその行為をすること自体に喜びが生まれるような、内から生じるモチベーションのことを言います。
モチベーションのエネルギーからいうと断然内発的動機づけのほうが高いものになります。皆さんは「フロー状態」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 心理学者のミハイ・チクセントミハイがつくり出した用語で、時間の感覚が消え去るほどの高度の集中状態のことを言います。このフロー状態に入ることができるのも内発的動機づけからなのです。
内発的動機づけは概念の理解の深さやレベルの高い創造性、そしてよりよい問題解決を導くことになります。そしてこの内発的動機づけを生み出すポイントの1つに、先ほどの「好奇心」があるのです。対象に対する好奇心が内発的動機づけを生じさせることになります。そして内発的動機づけが発生しているときには記憶力が高まることになるので、それが前述の子どもの驚異的とも思える記憶力につながるというわけです。
これは大人になってからの集中力にも影響を与えることになります。つまり、子ども時代にいかに何かに夢中になることができたか、そしていかにたくさん没頭する時間を持てたか。それが将来の集中力、記憶力にも大きく関わってくるのです。
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