会話がどうもヘタな人と上手い人の決定的な差 リモート会議で意思疎通を円滑にやる為のコツ

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まずクローズアップしたいのは、リモートでのコミュニケーションにおいても大きな意味を持つであろう「声」についての考え方だ。

声の力と聞いて思い浮かべるのは、やはり「大きさ」ではないだろうか。事実、発言力のある人のことを「声の大きい人」と表現することも少なくない。ところが著者は、声で重要なのは「大きさ」ではないと主張する。

ただ声が大きいだけでは、「同じトーンでがなり立てる、政治家の辻立ちと同じ」だと。そしてそのことについて、自身の体験を引き合いに出している。

私の声はあまり通らず、聞き取りにくいことが悩みでした。
そこで、ニューヨーク滞在時代、俳優でもあるベテランボイスコーチに、ブロードウェーで実際に使われている発声法を教えてもらいました。
声が出る仕組みをしっかりと科学的に学んだのですが、びっくりしたのは、発声は全身運動であり、声は呼吸そのものだということ。
徹底的に体をゆるめ、たっぷりとした息を吐くことが、いい声の決め手ということを知りました。
ゴロゴロ転がりながら発生するなど、体育会さながらのハードなトレーニングのあとは、驚くほど豊かな声量が出るようになるのが衝撃でした。(197ページより)

リモート会議中に転がるわけにはいかないだろうが、「徹底的に体をゆるめ、たっぷりとした息を吐く」という部分は応用できそうだ。

声は呼吸。3つの基本動作は?

現実問題として、「滑舌の悪さ」という悩みを抱えている方は少なくないだろう。しかし、大切なのは滑舌よりも「声の深みと個性」だと著者は主張する。具体的には、カリスマの決め手は「低音」にあるというのだ。

例えば低めの声の持ち主としては、マーティン・ルーサー・キング牧師や京セラの創業者である稲盛和夫氏などの名前が挙げられている。

アメリカのデューク大学の研究では、低音をもつ男性CEOはそうでないCEOと比べ、1年で18万7000ドル(約2000万円)も多く稼ぐという驚きの結果が出ました。(200ページより)

しかしその一方、若々しさや情熱を体現するのが「高めの声」を持つ人。例えばビル・ゲイツ氏、孫正義氏、ジャパネットたかたの創業者である高田明氏などがそうだというが、高田氏に関しては、普段の声はぐっと低めなのだそうだ。

客前ではあえて「高い声のキャラ」を強調し、テンションと音程を上げているということ。そんなところからもわかるとおり、“声の達人”は、低い声が威厳と落ち着き、高い声が親しみやすさと若々しさを想起させることを理解したうえで、高低を戦略的に使い分けているというのである。

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