「夫婦別姓」を容認する人が少なくない背景

夫婦同姓なら家庭の一体感が本当に増すのか

今、選択的夫婦別姓を求める人は増えている。早稲田大学法学部・棚村政行研究室と「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」が今年10月22日~26日、インターネット経由で20~50代の男女7000人を対象に行った全国調査では、70.6%が選択的夫婦別姓に賛成、反対はわずか14.4%という圧倒的な差がつく結果が出た。

賛成派の半分は夫婦別姓を望み、残り半分は、自分は夫婦同姓がよいが、ほかの夫婦は別姓でも同姓でも構わないと回答している。賛成派は、夫婦別姓を強制したいのではなく、別姓と同姓が共存する社会を望んでいるのだ。

朝日新聞も今年1月、無作為の電話による全国世論調査を実施しているが、その際も選択的夫婦別姓に対して賛成が69%、反対が24%と同様の結果が出ている。

夫婦別姓を求める人が多数派になっている

夫婦別姓を許容する、あるいは求める人が多数派になった要因は、大きくわけて2つ考えられる。1つは仕事や生活上の不便。働き続ける女性が珍しくなくなった今、姓が変わると営業上の不利益を被る人は多い。研究者や医者などの専門職はもちろん、客に名前を覚えてもらうサービス職や営業職でも困る。また、結婚・離婚の事実を明らかにする姓の変更は、個人情報の強制的開示になる可能性もある。

2つ目の要因は、現代社会において、姓がアイデンティティと直結することだ。夫婦同姓規定を違憲として、2018年に国を相手取った裁判を起こした原告の1人、医師の恩地いづみさんはペーパー離婚をしている。「生まれたときからの名前は、私そのもの」と、2018年7月11日の朝日新聞記事上でその理由を語った。

夫婦同姓強制が法制化されたのは、1898年に「妻は原則夫の姓を名乗る」とする明治民法が施行されてから。明治初期には男女同権が議論され、夫婦は別姓だった。同姓強制が社会に受け入れられたのは、庶民が姓を持てなかった江戸時代の意識も残っていて、それほど重視されていなかったからではないか。

また、当時は共同体の中で暮らす人が大半だった。今でもそうだが、共同体では同姓の親せきが多数暮らしているなどして、屋号や下の名前で呼び合うことが珍しくない。自分を、共同体や故郷の一部と感じていた人も多かっただろう。

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