「学校に行かない理由」聞かれた人が困惑する訳 「保健室もフリースクールもダメ」を経て…
また、高校とは別に美大受験用のデッサンや油絵などを習うため、私は予備校に通いました。予備校は、夜間のみと拘束時間が短かったおかげで、無理なく通うことができました。
自分と同じように美術が好きな人たちが集まっているということもあり、クラスメイトも気が合う人が多く、楽しくすごせました。
そして、そのまま私は美術系の大学へ進学しました。大学に進学してからは、人付き合いや授業の取り方など自由度が増したこともあって、私は不登校になることはなく、大学を卒業しました。
理由も自覚も
私は小学1年生から高校1年生までの約10年間、不登校をしていました。しかし、いじめられたり、学校に不信感を抱いたり、不登校になったわかりやすい理由もなければ、不登校を乗り越えたという自覚もありません。
ただ、なんとなく学校へ行かなくなり、予備校のように拘束時間が短かったり、大学のように自由度が高い環境であれば学校だったとしても自然と楽しく通っていた。それだけです。
かつて学校へ行くことができなかった私は、今はなんとか、1人で生活をしています。一人暮らしをしているというと立派に聞こえるかもしれませんが、不登校だったときと同じようにできないことがたくさんあるままです。
30代になっても、就職もできないし、結婚もできないし、友だちもつくれません。しかしその事実を認めたときにやっと、自分の生きやすい生活にたどり着けた気がしています。
「どうして学校に来ないの?」という質問の答えを追いかけるのはやめて、できないものは、できないと諦め、その代わりに自分に合った環境を探していく。
「どうしてみんなは毎日学校へ行けるんだろう?」 「どうして休みなく働けるんだろう?」と世間に対して疑問を抱いたり、ときには自分のポンコツさに少し落ち込んだりするときもあります。
しかし、不登校を乗り越えず、強くもならないまま、社会の端っこのほうで誰にも知られず生きている今の自分が、けっこう好きだったりするのです(不登校経験者・ぱっちんさん・33歳)。
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