国道16号沿い好んで住む人が多いのは当然な訳

都市と郊外の住宅街と身近な自然が合わさる

古代からこの道には人が集まり続けてきた(写真:ニングル/PIXTA)

首都圏の郊外を走る330キロの環状道路、国道16号線。

(注:横須賀市走水と富津市の間は海上区間。「東京湾口道路」でつなぐ計画があったが凍結中。東京湾フェリーが実質的な代替手段として海をつないでいる)

この道が走る地域から誕生した、世界的に有名なゲームと生き物がいる。創造したのは、1965年生まれで国道16号線エリアの町田市で少年時代を過ごした1人の男の子だ。

彼は、町田郊外に豊富にあった(今もある)雑木林でカブトムシやクワガタを捕まえるのが大好きだった。捕まえるだけではなかった。どうやったらクワガタを長生きさせられるか、ずっと友達でいられるのか。飼育と観察を熱心に行った。夢は昆虫博士である。

1970年代後半、町田郊外の自然の多くは開発され、住宅や街に変貌した。カブトムシやクワガタの代わりに別の「生き物」が現れた。住処は雑木林ではなく、喫茶店の片隅のブラウン管の中だ。生き物の名は「インベーダー」。男の子はインベーダーゲームに出会い、一気にゲームの世界へのめり込み、長じてゲームソフト会社をつくった。

大人になった男の子は、1996年にひとつのゲームを完成させる。かつて雑木林でカブトムシやクワガタを捕まえたドキドキを、友達と交換したり戦わせたりしたワクワクを昇華させた。

16号線エリアで育った少年の体験がゲームに

「ポケットモンスター=ポケモン」である。男の子とはポケモン生みの親の田尻智のことだ。

以上は小学館の「学習まんが人物館」シリーズ『ポケモンをつくった男 田尻智』(小学館)からの要約だ。同書には、ポケモンの原型となる「カプセルモンスター」の企画書の内容についてこう記されている。

「主人公は未知の生物を求めて冒険の旅に出る。」「それぞれの生物の生態を研究する。」「その習性に合わせた捕獲法を実験する。」「捕獲したものを飼育する あるいはコレクションする。」「持ってないものはクラスの友達と「交換」で手に入れる」

16号線エリアで育った昆虫少年時代の体験を、田尻は素直にゲーム化した。それがポケモンだったのではないか。

ポケモンの舞台は「カントー地方」。アニメ版のポケモンで活躍する主人公のコドモ、10歳のサトシ少年は、カントー地方のマサラタウン出身だ。カントー地方には10の町があって、28本の道路でつながっている。16号線=16番道路だってある。それぞれの町は自然があったり、ダウンタウンだったり多彩なプロフィールを有し、それぞれユニークなポケモンが暮らしている。

ゲームプレーヤーは「ポケモントレーナー」として、道路を移動し、町を渡り歩き、新しいポケモンをゲットし、育成し、自ら育てたポケモンで他のトレーナーのポケモンとバトルしたり、交換したりする。

次ページ現実の16号線には共通点がたくさん見えてくる
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