日本およびギリシャ、スペイン、ポルトガルの国債を分析《ムーディーズの業界分析》

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6. 将来の格上げにつながる要因
政府債務動向、経済成長のトレンドの改善見通し

7. 将来の格下げにつながる要因
深刻かつ長期化する財政悪化、財務負担能力の低下、(上記4.(5)の)日本国債市場の固有の特徴の弱まり

8. 最近の動向
(1) 景気後退は09年春に底打ち、景気回復はほとんど政府の景気刺激策によるもの。輸出からの力強い押し上げがない限り、回復のペースは緩やかなものとなるだろう。

(2) (10年1月11日「新財務大臣の就任に伴い日本の財政戦略の不確実性はさらに深まる」とのコメント)
・ 名目GDPは11年まで安定的なプラス基調を回復しない可能性があるとみられ、力強い景気回復が見られないなか、日本では、中央政府一般会計の下での国債発行が、10年度には税収を上回り、11年度には税収および税収以外の歳入をも上回る、という状況に直面することが考えられる。地方政府の赤字を考慮すると、一般政府赤字は11年度までGDP比で約10%におよぶ可能性がある。これは過去10年間で最大の赤字水準であり、圧力にさらされる多くの先進国の財政赤字にほぼ匹敵する。

・ Aa2の格付け、見通し「安定的」は、08年~09年の世界的な危機による財政圧力の下でも維持されてきたが、格付けが中期的に支えられるかは、より力強い経済成長と漸進的な赤字削減および債務抑制への回帰にかかってくる。政府債務はGDP比200%超と、先進国中最大水準まで膨張。国内市場は今年、過去最大の国債発行をも順調に消化するとみられるが、国債利回りに対する圧力は徐々に高まる可能性がある。

(3) (10年2月22日「日本の実質GDP成長率は、景気回復の勢いの弱さを反映していない」とのコメント)
・ 09年10~12月期の実質GDP速報値、対前年同期比4.6%増は力強い景気の回復でダウンサイド・リスクが低減したようにみえるが、財政の健全化に必要とされる景気のファンダメンタルな改善を示すものではない。デフレ傾向の再燃と低調な名目GDP成長率を考え併せると、全体的な格付けへの影響は中立的。

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