日本およびギリシャ、スペイン、ポルトガルの国債を分析《ムーディーズの業界分析》

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日本の国債について

本稿は、日本政府に関するクレジット・オピニオン(2009年12月29日付け、10年1月11日付けならびに2月22日付のコメント)の抄訳です。

1. 日本国債の格付け Aa2 見通しは「安定的」

2. 格付けを支える要因
(1) 高水準の国民所得、貯蓄、経済の耐性
(2) 広範かつ奥行きのある国債市場
(3) 非常に強固な対外支払いポジション

3. 格付けを圧迫する要因
(1) 高水準の政府債務及び財政再建
(2) デフレおよび経済成長の持続性
(3) 人口動態上の圧力

4. 格付けの根拠
(1) 高水準の国民所得、非常に規模の大きい経済および非常に強固な制度により、経済の耐性が「非常に高い」ことにもとづく。
(2) 日本の財政力を「中位」としているのは、歳入確保の弱さ、非常に高水準の債務を反映。
(3) 格付けにあたっては、赤字削減および中期的にプライマリーバランスの黒字化を達成する目標に対する4政権にわたるコミットメントも反映。
(4) 政治面、経済面でのイベントリスクに対する脆弱性は非常に低い。
(5) 高水準の債務維持能力は、独自の特徴、特に国内資金調達基盤の厚みと安定性、ゆうちょ銀行貯金およびそのほかの金融機関における国内貯蓄、国内投資家の強い国内投資指向などを背景に、リファイナンスおよび金利への圧力は最小限に抑えられている。
(6) 経済成長は90年代以降他国に遅れ、異例の長期デフレは財政悪化につながった。日銀によれば、日本の潜在成長率は年率1%ないし1.5%程度、相対的に急速な高齢化が進む中で社会保険費増大も格付けに織り込み済み。

5. 格付けの見通し:「安定的」。
日本の戦後における最長の経済回復を終焉させ、財政再建のプロセスを後戻りさせた世界的な景気後退を見通したもの。これらの後退は一時的なもので、日本の長期的な信用基盤を損なうものではない。

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