「デジタルネイティブ」の20代社員のような斬新な企画は出せないし、彼ら彼女らが出してきた企画を面白いとも思わない。なのに、その企画がヒットしたりする。
自分の感覚とウケる感覚とのズレを自覚せざるをえず、最近では、会議などでおおっぴらに意見を言うのを自粛しているそうだ。だが、そんな体たらくだと、会社からはやる気がないと判断されてしまう。
「だから『40歳の手習い』じゃないけど、object-Cというスマホのアプリを開発する言語を独学で学んでいたら、覚えているうちに、別の言語が主流になっちゃった。技術や発想で若者に追いつくのは、どだい、無理ね、もう」
後輩が少なかったアラフォーは、マネジメントが下手
年を取っていくと、「スピード」や「勢い」を失っていくのは仕方がない――。すると、「経験」やそこから得た人格、リーダーシップなどで損失補塡する必要がある。
ところが、われわれ40歳前後世代は、後輩が自分たち以上の就職氷河期世代で、会社が長年新卒採用を手控えていたことから、「後輩がいない」問題に直面してきた人が多い。
したがって、若いうちから部下や後輩をまとめた経験がロクにない場合が多く、残念ながら……それすらあんまり期待できないのだ。
前出の新興企業の女性40歳社員も、前職の大手企業で「30歳過ぎても自分がずっと若輩者だった」ことから、転職してマネジャー職にステップアップしても、すんなりとは人のマネジメントができず、苦労していると言う。
「私のマネジメントは、1日中作り笑いを浮かべて、関係部署や部下の意見を調整するだけ。リーダーシップなんて全然ない。だから、会議で企画案を決めるときは、いつも関係各所、全員が妥協できる線を狙ってお茶を濁す。その結果、企画はいろいろな要素をまんべんなく取り入れた総花的な並びになる。だから、この間、上司に『君のチームの企画は、どこかで見たような企画を大量生産しているだけで独創性がない』って言われちゃった。図星なだけにつらかった」
上司に叱責され、責任を問われても、40歳過ぎのビジネスパーソンは、泣いて同情を集めることもできない。
「理研の小保方さんは会見で『私の未熟さが……』と繰り返すことで、一躍、お役所的組織にいじめられる忍従ヒロインになったけど、われわれ40女がアレをやっても、誰もかわいそうなんて思わないよね」
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