今から思えば、「若さ」とはどれほどの特権だったか。特に女性の場合、若くてきれいであるというだけで、大概の愚行、奇行、失敗が帳消しになるとまでは言わないが、大目に見てもらえる。
だが、そこで調子に乗っていると、40歳でいきなりハシゴを外される。20代、30代の「天然ボケ」は、40代ではただの「バカ」扱いだ。
「万年ヒラ社員」激増の中で
いったい、40歳以降、われわれはどこに向かい、何を目指すべきなのか?
親世代のように、ただ年を重ねるだけで、課長や部長になれる時代ではとうにない。それどころか、日本の大手企業は今、「グローバル化」の一環として、等級(グレード)を子会社や現地法人と統一化する動きが盛んだ。その結果、日本の大手企業にありがちだった「部付部長」や「担当部長」など「部下ナシ管理職」の方々の役職は、続々と引っぺがされている。実質的にマネジャー業務をしていない、日本独自の職位だったためだ。
統計でも、管理職のいすが年々減っていることは明らかだ。厚生労働省の調査によると、50歳を過ぎても、課長や部長といった管理職に就いていない人の割合は、55%と半数を超えた(この20年間で8.9ポイント増)。連合の調査でも、大卒の男子50~54歳で、係長・課長・部長などの役職についていない人の割合は、1985年では19.9%だったのに対し、2002年には32.0%、2010年には36.0%まで増えている。
「万年ヒラ社員」激増の時代ということか。
しかも、今後のヒラは、以前のように年々収入が上がっていくとは思えない。現在、各社では、年齢ごとに上がる職能資格給と、役職に応じて支払われる役職給を合体させる傾向で、基本給を役割給のみに一本化した企業もすでに出始めている。
ヒラはヒラの役割給しか得られないとなると、家族を扶養する義務のある中年ヒラは、俄然、経済的にも追い込まれるだろう。
かといって、40歳前後で今更、「出世」を目指すことは可能なのだろうか?筆者が、これまで100人以上に及ぶ企業人事、人事コンサルタントを取材してきたかぎり、「将来の幹部候補になれるかどうかは、35~36歳で決定している」という意見が支配的だ。
確かに、次世代リーダー研修などは30代後半で締め切ってしまう企業が多い。だが、部課長クラスなら、30代後半から目指すことは十分に可能だと、多くの人事関係者が言う。だったら、40歳ではどうか?
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