ある大手メーカーでは、今、再雇用したシニア人材に「CSRのサポート」と銘打ち、社内の緑化活動(清掃などを含む)を担当させているそうだ。シニア社員が在職中の人の仕事に影響を及ぼさないよう配慮するためだという。
もちろん、社内や地域の緑化は、社会的意義のあるすばらしい仕事だ。だが、それが、政府の有識者会議が言うところの「高齢者の活躍」なのだろうか。
65歳どころか、40歳で居場所が消滅
だいたい、40歳にして、すでに会社や組織で居心地悪さを感じ始めた人も多い。ある知人の銀行員は、40歳ですでに子会社への片道切符を突き付けられたと不満げだ。
「そのうち転籍になって、何年かかけて給料が半分になるかもしれない。そうなったら、子どもの学費や住宅ローンは払えるのか」
彼はそう嘆く。
「こうなるのだと知っていたら、30代で転職していた」と。
一方で、彼は「転職してからさっぱり連絡が取れなくなってしまった人も多い」とも言う。
「外資金融マンに転じた友人たちは、VP(課長)までは上がれてもMD(部長クラス)に上がれるのは一握りで、途中脱落していった人がほとんど。で、大体、その後の転職先を教えてくれないんだよね」
大手企業に勤める知人のワーキングマザー社員は、40歳を過ぎてたちまち会社にいづらくなったと言う。
「子どもを3人産んで、そのたびに産休・育休を取っているため、同期に比べてキャリアが浅い。それでも、給料は年々上がっていくから、会社からしたら『コスパ(コストパフォーマンス)が悪すぎるヒラ』なんだと思う。そんな私にカツを入れるためか、最近、上司がこれみよがしに、やる気ある専業主婦のパート社員を私より権限のあるリーダーに抜擢した。焦るよね」
あこがれのベンチャーに転職も、40代で企画が枯渇
30代のとき、伸び盛りの企業に転職した友人は、友人の間で羨望の的だったが、彼女の「40歳の悩み」も意外とまた深い。
「ベンチャーは企画勝負の世界。私はその企画力では負けないと思っていた。でも、40歳にもなると、自分は昭和の人間なのだなと、自覚せずにはいられない事態に多数遭遇していて……」
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