石破茂がいまだから語る「負け戦」に挑んだ真意 派閥のトップまで降板する必要はあったのか

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そしたら、ギリギリでしたけど20人の推薦人が集まって、それが私の総裁選の1回目となったのです。このとき、麻生さんと私のほかには、与謝野馨さん、小池百合子さん、石原伸晃さんが出馬し、結果、麻生さんの完勝でしたが、その翌年、2009年には、自民党は選挙で民主党に政権を奪われ、下野した自民党のリーダーを選ぶ総裁選となりました。

この総裁選には私は出ていません。何しろ、今まで自民党が経験したことのない状況です。権力もない。ポストもない。下手をしたらあっという間に自民党が瓦解してしまうかもしれない。ですから、能力とともに人柄も優れたリーダーを選ぶことが重要で、これは谷垣さんをおいてほかにはいませんでした。

私は谷垣先生の推薦人となり、谷垣総裁の下で政調会長の大役を担ったのです。そしてその3年後の2012年に2度目の総裁選に出ました。

このときは、自民党はいまだ野党ではあるものの、民主党政権の評判は地に落ちていて、やがて自民党が政権を奪還することがほぼ確実視されていました。そのため総裁選も熱気にあふれ、安倍さんと町村(信孝)さん、私と石原さん、参議院議員ながら林芳正さんが名乗りを上げて、決選投票に残ったのが私と安倍さん。

そうして誕生した安倍総裁の下で幹事長を引き受け、12月の総選挙で政権奪還を果たしたのです。つまりこの2回に関しては、水月会の結成前の出馬だったわけです。

総理になるのは手段であって、目的ではない

私は4回の総裁選を経験しましたが、総理になりたい、なりたいと、地位としての総理総裁に恋々としたことは一度もありません。総理になるのは手段であって、目的ではないと強く思っていますからね。ただ、過去3回の総裁選の頃に比べても、今がいちばん厳しく困難な時代になってきたことはわかっています。

外交も内政もこんなに厳しいときはなかったのではないかと思うほどです。地方の疲弊、東京の飽和、この先80年で半減という人口急減で、このままでは社会は成り立たなくなります。米中の対立は構造的ゆえに不可避で、その影響を少しでも減じる努力しかできないでしょう。つまり課題は山積みで、政策を勉強しても勉強してもまだ足りないという焦りもあります。

派閥の会長を辞めると表明したことを、一大事のように語る人もいますし、大きく報じられもしましたけれど、なにも衆議院議員であることを辞めたわけではありません。

先のことはわかりませんが、私がこのように決意したのは、次の選挙で水月会の全員がまた議席を得られるようにするため、そしてこの純粋な政策集団が自民党の中で続いていくようにするためです。ですから、仲間の選挙は目いっぱい、応援するつもりです。そうやって選挙が終われば、また新しい景色があるかもしれませんしね。

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