小泉進次郎氏は「石破支持」に踏み切れるのか 自民党総裁選の唯一の見どころだ
お盆入りとともに、自民党総裁選は現職の安倍晋三首相と石破茂元幹事長による一騎打ちの構図が固まった。事前の多数派工作で、党所属国会議員の約8割を固めた首相の総裁3選が確定的で、「もう芝居は終わった」の声が広がる中、「唯一の見どころ」となるのが、国民的人気を誇る小泉進次郎筆頭副幹事長の対応だ。
6年前の総裁選では石破氏を支持した小泉氏だが、今回は「最後までしっかり考える」と態度を明らかにしていない。ただ、「近未来の総理・総裁確実」とされる小泉氏が、趨勢が決まった総裁選でどう行動するかで「政治家・進次郎の真価が問われる」(自民長老)のも事実。"反安倍"に踏み切っての石破氏支持か、"大勢順応"で首相支持に回るのか、それとも最後まで沈黙を貫くのか。政界でも見方が大きく割れている。
9月7日告示・20日投開票となる見通しの総裁選は、8月10日の石破氏の出馬表明に続いて首相も11日に出馬の決意を明確にしたことで、想定より早く決戦モードに突入した。このため、首相や石破氏にも相手を意識しての「尖った発言」が目立ち始めた。
今回の「安倍vs石破」は、お盆明け21日の総裁選日程・実施細則の決定後に、両陣営の集票合戦が本番を迎えるが、「強大な包囲網の中で石破氏がどれだけ反安倍票を集められるかが最大の注目点」(自民幹部)で、そのカギを握るのが小泉氏とされる。
小泉氏次第で地方票は100票前後動くとの見方も
首相サイドは、総裁選後も首相による1強体制を維持するため、合計810票(議員票405、地方票405)の7割以上を獲得する「圧勝」で3選を決めたい考えだ。これまでの派閥単位の多数派工作で議員票の大半を固めた首相陣営は、地方票でも6割以上の得票を狙って、百万人超の党員・党友の囲い込みに総力を挙げる方針。
これに対し、主要派閥による石破包囲網により、現時点での議員票は「60前後」と劣勢が際立つ石破陣営は、6年前に首相を圧倒した地方票に活路を求めるしかないのが実情だ。そこで石破氏が秋波を送るのが小泉氏だ。
9年前の初当選以来、無派閥を貫く小泉氏だが、すでに「若手のリーダー」として党内に20~30人規模の"親衛隊"が存在する。さらに、抜群の知名度や好感度の高さから「地方党員への影響力も党内実力者以上」(自民幹部)とみられており、「小泉氏の動向次第で地方票も100票前後動くはず」と予想する向きが少なくない。
このため、小泉氏が石破氏支持なら「首相の圧勝阻止のキーパーソン」となり、首相支持に回れば「圧勝のダメ押し役」になる、との位置づけだ。だからこそ、政界だけでなく一般国民も小泉氏の動向に注目するわけだが、「今回は複数で複雑な選択肢があるため、熟慮せざるをえない」(小泉氏周辺)との指摘が多い。
その選択肢だが、「首相支持か石破氏支持かという単純なものではない」(政界事情通)。「いつ支持表明するのか、支持を決めた後、政治家としてどう行動するのかによって総裁選への影響度が大きく変わる」(同)とされるからだ。具体的に想定されるのは、①総裁選告示に合わせて意思表示する、②総裁選の途中で支持候補を決めて公表する、③投開票後に投票した候補を明らかにする、の3パターンだ。もちろん、「告示前の支持表明」や「投票後も支持を明らかにしない」という選択肢もあるが、「小泉氏の性格や置かれた立場を考えれば、どちらもありえない」(自民長老)との見方が多い。
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