ダイヤモンド社の本は、なぜ売れるのか?

特別対談 ベストセラーを生むための編集と営業(上)

和田:できたてほやほやの新刊だけでなく、発売して数年経つ既刊本が店頭でベストセラーになるのが弊社の強みだと思います。『雑談力が上がる話し方』(齋藤孝著、5月23日現在47万部)は、2013年のトーハン・日販のビジネス書ランキング第3位(ビジネス書部門)になりましたが、実は2010年の4月に出た本です。これは著者と営業の力以外の何ものでもないですね。

井上:営業としていちばんうれしいのが既刊本の売り伸ばしです。新刊は売れて当たり前。でも既刊本が売れるのは、まさに営業が仕掛けたから。それが営業マンの自信にもつながる。

うちのベストセラーの特徴は、2刷(最初の重版)の刷り部数が多いことです。弊社は毎週木曜日が新刊の配本(発売日)と決まっていて、発売後の最初の重版の判断を、翌週の月曜日にすることになっている。つまり木、金、土、日の売れ行きデータを基に2刷の部数を決めるわけです。ここでどれだけ思い切った部数を刷って、事前に書店さんに案内できるか。その案内をするときに、「こういう広告を打ちます。こういうパブが入ります」とタイミングよく言えるか言えないかで、10万部の壁が超えられるかどうかが決まると思っています。

佐々木:売り伸ばすスキルがすごく高いということですね。

井上:それは自信を持って言えますね。いけそうだと思ったら、2刷目、3刷目を思い切って大量に重版すること。その重版分が書店に並ぶタイミングに合わせて広告を投入すること。「日経新聞の半5段サイズの広告を、この本だけで入れますから」といえば、書店さんも安心して仕入れてくれます。

そうそう、今まで新刊はまとめて広告に載せていたのですが、それだと1冊当たりのスペースが小さくて印象に残らないのでやめました。その代わり、1冊の本を大きく取り上げるようにした。

和田:編集者からすれば、自分の担当した本が大きく宣伝してもらえない可能性もあるのですが、発売直後にスポットライトが当たらなかったからダメということではありません。たとえば「ダイヤモンド・オンライン」に連動企画を掲載するなどして、「こんなに反響がありましたよ」という根拠を持って営業にPRしていくことで、売れ始める本もあります。センター争いは厳しいけれど、たとえセンターにならなくても、その後に売れる本もたくさんあります。

佐々木:そこもAKBっぽいですね(笑)。

和田:私がこう申し上げられるのは、担当書籍が発売後何年か経ってからベストセラーになったという原体験があるからこそです。より多くの書籍が、こうしたかたちでひとりでも多くの読者に届けばうれしいですね。

(構成:長山清子、撮影:風間仁一郎)

※ 後編は5月29日(木)に掲載します

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