メガバンク系証券が批判「時代遅れ規制」の行方

ファイアーウォール規制は撤廃すべきなのか

――間接金融が中心と言われてきた日本の金融は変化し、銀行の影響力は低下している、と。

間接金融から直接金融への流れというのが、1990年代から比べると、今は相当程度進んでいる。エクイティ・ファイナンス、ハイブリッド・ファイナンス含め、あるいは社債など資金調達手段が多様化して、必ずしも銀行のローンに頼らなくてもなんとかやっていけますよ、と。しかも企業は金余りになっちゃった。これも大きな変化だ。

中小企業も(借金がない)非債法人がどんどん増えてきて、6割ぐらいが非債になったんじゃないかな。(銀行は)お金を借りてくれるところを探すのが大変。(お金を借りてくれる企業を)やっと見つけたと思ったら、(ほかの)銀行が群がるもんだから、(金利の)ダンピング競争になって、それで銀行はどんどん体力が低下しているわけです。

お客様は「今が当たり前」と思っている

――顧客の側に、銀行と証券の機能をパッケージで提供してほしいというニーズがあり、銀行グループとして規制緩和が必要だと声をあげているということでしょうか。

あらき・さぶろう/1957年生まれ。1981年東京大法学部卒業、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入社。常務、専務、副頭取などを経て、2018年4月から三菱UFJ証券ホールディングス社長(撮影:尾形文繁)

もちろんそういうことを望んでいる企業はあると思います。それが大きな声(ニーズ)になっているかという質問だとしたら、それはどうかな。

お客様はそういう規制緩和があるとも思ってないし、今が当たり前だと思っているから、「ぜひこうやってほしい」と声に出す機会もない。ちょうどいい機会だから、金融審で議論している中で、そういうお客様のニーズを調べることになると思うが、ぜひ調べていただきたい。

(銀行と証券が)一緒にやって、自由に提案できるようになったら、もっと提案の質が上がる。そうなったとき、「なんで昔こんなことだったんだろう」とお客様は思うだろう。現状でお客様がある程度満足しているのは、銀行は銀行、証券は証券だと思っているからだ。

――ファイアーウォールがなくなることで企業の側にはどのようなメリットがあるのですか。

企業が実際に事業戦略なり、財務戦略なりを考えるときには、銀行だけから話を聞けばいいというわけではない。すべてのことがつながっていて、M&Aのためにお金借りなきゃいけない、借りた後、パーマネント(ローン、長期貸し出し)をどうするのか、そういうシナリオがないと買収できない。

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