メガバンク系証券が批判「時代遅れ規制」の行方 ファイアーウォール規制は撤廃すべきなのか

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買収して財務が悪くなったら、それをどうやってリカバリーするのか。中長期的な財務の建て直しとか、投資家への還元とか、合わせ技で考えないと、戦略が練れない。

そうしたときに証券からだけ話を聞く、銀行からだけ話を聞くのでは、はっきり言って全然話にならない。欧米では、初期段階から相手の経営陣とブレストを通じて、(金融機関が)相手の潜在的なニーズを探り当てようとしている。(企業側が)初めから「ここを買う」と決めているようなディールはない。

それ(ニーズ)に対してわれわれが提供できるもの、銀行あるいは証券、直接金融、間接金融から、どういう機能が提供できるのかというのを、ちゃんとご説明しないと、ストーリーが描けない。

その意味で今の規制は非常に時代遅れだし、企業にとって非常に非効率、かつそういう初期段階でのまともな提案がもらえない仕組みになっている。これは非常に日本経済にとって、由々しきことではないか。

アメリカの企業は銀証一体となって、トータルパッケージでやるから話が早い。だからM&A市場が1990年代よりも今のほうが何倍も大きくなっている。日本の金融市場でもそれをやっていかないと、どんどん国際競争から立ち遅れてしまう。それでいいんですかということだ。

規制緩和は「十分」という意見も

――しかし、現状でも銀行と証券の営業員が一緒に営業できるようになっています。法人向けでは、拒絶されない限りは情報を共有できる「オプトアウト」も認められており、緩和は十分という意見もあります。

やっぱりルールはルールだから、厳格に運用しているわけです。

グループで営業やっていると、銀行と証券の人たちで集まって、いろんな相談をする。ただし、同意書がない企業の話になると、話し合いから抜けなきゃいけない。10社で協議しようとなったとき、数社で「同意書がありません」となったら、その話(顧客情報を共有する話)になった瞬間に「悪いけど、(同意書のない)証券は出ていけ」となる。これって、ものすごい面倒くさい。

しかも、それを記録化しないといけない。ちゃんとこういうふうにやりました、打ち合わせしました、誰それが参加していました、こういう話のときは誰それさんが何時何分に退出しました、とか。

そこまで記録を取らないと、あとで「お前ら、秘かにやっていたんじゃないか」と(当局から)嫌疑をかけられる。ファイアーウォールは金融検査の中で一番重い検査だから、資料を持っておかないと、何か嫌疑がかかったときのために、そういうアリバイづくりに、ものすごく労力をかけている。

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