メガバンク系証券が批判「時代遅れ規制」の行方

ファイアーウォール規制は撤廃すべきなのか

「金融を取り巻く環境は激変した」と話す三菱UFJ証券ホールディングスの荒木社長。写真は2019年(撮影:尾形文繁)
日本の金融業界の大きな転換点となるのか。今、規制緩和の議論で「ファイアーウォール規制」が大きな注目を集めている。これは、同一グループ傘下の銀行と証券は、同意なしに顧客の情報を共有してはいけないという規制だ。
きっかけは2020年6月に自民党政務調査会の金融調査会がとりまとめた提言だった。そこで「外国法人顧客に関する情報の銀証間ファイアーウォール規制の対象からの除外等について」として取り上げられた。
さらに7月に閣議決定された政府の成長戦略フォローアップには、「国内顧客を含めたファイアーウォール規制の必要についても公正な競争環境に留意しつつ検討」と検討範囲を広げる形で記された。現在、金融庁の金融審議会で議論が続いている。
ファイアーウォール規制を緩和する議論が浮上した背景には、メガバンク各行からの「強い要望」(複数の証券会社幹部)があったとされる。なぜ規制緩和が必要なのか。ファイアーウォール規制の緩和もしくは撤廃で顧客にデメリットはないのか。メガバンク系証券の一角、三菱UFJ証券ホールディングスの荒木三郎社長を直撃した。

金融を取り巻く環境は激変した

――銀行と証券のファイアーウォールの緩和や撤廃について、どのように考えていますか。

悲願だね。ファイアーウォールは、1993年に業態別子会社で銀行が証券に参入できるとなったときにつくられた規制だ。当時はアメリカもファイアーウォールが残っていて、それに倣った。銀行が証券業務をやるというので、独立系の証券会社から相当な抵抗があった。

当時の銀行は今の銀行とは違う。就職先としての人気も10位内に入っただろうし、時価総額も10位内に何行かが入っていた。我が世の春というか、とにかく銀行は、日本においては相当な重みをもって受け止められていた時代だよね。間接金融が非常に幅を利かせていた。

そこでは銀行の優越的地位の濫用とか、利益相反とか、そりゃ心配になるよね。(例えば)銀行が「うちの証券会社、使えよ」と圧力をかけるとか、いろんな弊害が考えられたから、厳しいファイアーウォール規制が敷かれた。

昔は人も山ほど企業に派遣したり、あるいは(株式の)持ち合いをしていたから、そういう意味での企業に対する力はあったと思う。ただ、もう4半世紀以上経っている。この間、金融を取り巻く環境は激変した。

今は持ち合いもだいぶ解消した。(融資先に)役員を出そうにも、「独立社外役員にならないから駄目だ」とか言って断られつつある。そういう意味での影響力は、昔に比べると相当程度減った。

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