メガバンク系証券が批判「時代遅れ規制」の行方 ファイアーウォール規制は撤廃すべきなのか

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コストもかかる。いつ(金融庁の検査が)来るかわからない。「そのときにどんな打ち合わせしたんですか」「ちゃんと中身がわかるんですか」「どういうことを話して、誰が参加していたか記録はありますか」と言われるんだから。

――費用や収益の面で、三菱UFJ証券やグループ全体にとってはメリットがあるわけですね。

(収益も)もちろん上がる。トータルで総合提案できるんだから。ファイナンスはこうします、M&Aはこんなサービスを提供できます、決済はこうします、為替はこうします、ヘッジします、余ったお金はこうやって運用しますなど、トータルパッケージでバーンと提案できるようになる。

徹底的なルールの順守と厳罰化が必要

――銀証のファイアーウォールがなくなると、銀行による優越的地位の濫用や、利益相反が顕在化するのではないかと危惧する声もあります。顧客は本当に不利益を被る可能性がないのでしょうか。

考えられる不都合は、優越的地位の濫用と利益相反、あとは情報が漏洩するリスクが高まること、この3つかな。これらはまさに、もし解禁になったら、金融機関が本当に歯を食いしばって徹底的に順守しなきゃいけない。

自分からもう一度点検して、ルール決めて、それが履行されているかどうか、自己規律を最大限高めないといけない。今もやっているけど、もっとそこのところは厳格に運用するようにしなければいけない。あるいは全国銀行協会なり日本証券業協会の中で、そういう仕組みづくりをやるということだ。

あとは厳罰化だ。もしも優越的地位の濫用があったり、利益相反があったりすれば、(当局としては)業務停止命令出すぐらいの、そういった措置をやりますよ、ということにすればよい。

梅垣 勇人 東洋経済 記者

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うめがき はやと / Hayato Umegaki

証券業界を担当後、2023年4月から電機業界担当に。兵庫県生まれ。中学・高校時代をタイと中国で過ごし、2014年に帰国。京都大学経済学部卒業。学生時代には写真部の傍ら学園祭実行委員として暗躍した。休日は書店や家電量販店で新商品をチェックしている。

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