新型コロナ「7段階モデル」で今冬の流行を予測 高橋泰教授「98%は風邪、血管が弱いと要注意」

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――集団免疫が成立しているとすれば心強いです。もう少し詳しくご説明ください。

今年の1月に季節性のインフルエンザの患者が突然来なくなり、かわりにインフルエンザ抗体は陰性だがしつこい風邪様症状の患者が増えたという現象を多くの臨床医が経験している。この現象は、ウイルス干渉とよばれるものだと説明される。ウイルス干渉とは、1つのウイルスに感染すると自然免疫が誘導されて、ほかのウイルスには感染しづらくなる現象だ。

また、GoToキャンペーン開始後に東京都以外の地域でもPCR陽性者が急増し、さらなる拡大が懸念されたところ、PCR陽性者が急減に転じた。この現象が起きるにも、先に述べたウイルス干渉の現象が起きるにも、風邪と同様に極めて短期間に数千万人が暴露し、自然免疫、細胞性免疫、微量抗体などの種々の免疫の新型コロナに対する処理能力の強化が起きていることが必要になる。

データの推移から、ウイルス干渉や集団免疫が実際に発生していると私はみており、新型コロナに対する免疫の強化がなされた人が国民の過半数を超えて集団免疫的な状況ができあがりつつあり、日本で重症者数や死亡者数は2020年の春よりも少なくなると考えている。

一方、今回の欧州で猛威を振るっているのが、変異を起こした新型コロナウイルスであって、これにうまく対処できない場合、日本でもある程度蔓延し、若い人の重症者・死亡者は少ないが、血管にリスクを抱える高齢者の重症者・死亡者は増加するリスクがある。ただし、先ほど述べたように欧州の水準よりは低いはずだ。

――巷間懸念されているインフルエンザと新型コロナの同時流行は起きますか。

私は今年の1月に起きたようなウイルス干渉が起きて、両方が爆発的に広がるようなことにはならないと予想している。具体的には、冬に例年どおりにインフルエンザが流行すれば、一時期は新型コロナと併存しても、まもなく新型コロナは姿を消していく。逆に新型コロナのほうが強く出ると、インフルエンザのほうがまったく現われない可能性がある。

新型コロナよりもワクチンのほうがリスクが高い

――最後に、ワクチンについて、どう考えていますか。世界中で開発競争が行われ、日本政府も有効性・安全性が確認できれば全員に配ると意気込んでいます。

私は否定的だ。まず、ほとんどの人が無症状、軽症の感染症でワクチン接種をする価値があるかということ。次に、新型コロナは抗体陽性となっても、3カ月ほどで陰性になるということが報告されている。これも、新型コロナが弱毒で生体の細胞を刺激しないため、抗体の産生が続かないからだと考えられる。かからないためには何度も接種する必要が出てしまう。

一方、副作用は怖い。弱毒のウイルスに罹患した後に、強毒のウイルスに罹患するとADE(抗体依存性感染増強)という強毒のウイルスの爆発的増殖によりサイトカインを逆に誘発しやすいことが知られている。つまり、ワクチン接種にADE誘発の危険性がある。リスクが非常に高いと考えたほうがよい。

※以前の連載はこちら。
① 「新型コロナ、日本で重症化率・死亡率が低いワケ」(7月17日)
② 「高橋泰教授が新型コロナをめぐる疑問に答える」(7月27日)
③ 「新型コロナ、『2週間後』予測はなぜハズレるのか」(8月7日)
7段階モデルのVer.2の詳細は社会保険旬報10月21日号に掲載

大崎 明子 東洋経済 編集委員

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おおさき あきこ / Akiko Osaki

早稲田大学政治経済学部卒。1985年東洋経済新報社入社。機械、精密機器業界などを担当後、関西支社でバブルのピークと崩壊に遇い不動産市場を取材。その後、『週刊東洋経済』編集部、『オール投資』編集部、証券・保険・銀行業界の担当を経て『金融ビジネス』編集長。一橋大学大学院国際企業戦略研究科(経営法務)修士。現在は、金融市場全般と地方銀行をウォッチする一方、マクロ経済を担当。

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