グローバル時代に対応できない日本の人事 経営戦略と人事戦略が一致しないと、生き残れない

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リーマンショック直後の日本の失業率は5%程度だった。今は3%程度だ。日本は人手不足の国なのだ。リストラは、これから伸びる中堅中小やベンチャーに対して人材を供給する行為といえる。非常に重要な社会貢献といってもいいと思う。

進む少子高齢化、年齢に関係ない処遇も

──労働市場と密接に関連した人事管理は、日本全体のためにもなるということですね。ほかに押さえておくべきことはありますか。

やはり少子高齢化だろう。長期にわたり企業の繁栄をどのように維持していくかを考えると、20~30代の人たちが少ないのは問題だ。この世代の人たちが新しいグローバル化の道を作り、企業の成長を支えていくことになるからだ。

林 明文・ トランストラクチャ代表取締役シニアパートナー 青山学院大学経済学部卒業。 トーマツコンサルティングに入社。人事コンサルティング部門シニアマネージャーとして のコンサルティングに従事。 その後大手再就職支援会社の設立に参画し代表取締役社長を経て現職。講演、執筆多数。

中高年は余っているのに、これから中核になる若者が不足しているという現象をどのように解決していくか──。それこそ、今までやったことのない思い切った人事管理が必要になるかもしれない。たとえば人事管理から年齢や勤続の要素を外し、能力のみで処遇するという道もあると思う。それにより、逆に中高年を徹底的に活用するのである。

ただし、同じ年齢でも、老け込む人がいれば、バリバリ働ける人もいる。心身共に健康な状態をいかに維持するか──、健康保険組合の問題ととらえられているかもしれないが、これからは人事にとって極めて重要な課題となるだろう。

──最後に、何か人事の方にメッセージをお願いします。

経営計画ができても、人的資源管理を担う人事が承認しなければ実行できないということが認識されるようになってきた。人事管理の重要性が認められつつあるのだ。企業における経営計画の中心にいるのが人事であり、企業の成長を左右する仕事をしているということを自覚してほしい。

人事から企業を変革していくためには、周囲をうならせるような企画力、分析力、実行力を持つ人事領域のプロである必要がある。そういう力をつけて、ぜひ企業の発展に貢献してほしい。

(撮影:堀田春樹)
 

小林信一

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こばやし・しんいち

HR総合調査研究所(HRプロ)ライター

同志社大学法学部卒業後、出版社勤務を経て、87年に独立。フリライターとして、学生援護会発行『DODA』『TPIS』、産労総合研究所発行『企業と人材』『人事労務』などの雑誌で執筆。採用、組織活性化、人材教育などの分野を得意とする。

 

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