グローバル時代に対応できない日本の人事 経営戦略と人事戦略が一致しないと、生き残れない
──人事管理に真剣に取り組まなくても、企業にとって大きな問題にならなかったということですね。
そもそも職能資格制度など、日本の人事管理の骨格ができたのは高度成長期だ。成長に向く制度として作られたといっていいかもしれない。その後、すっかり定着し、当たり前のものとして誰も疑いを持たなくなった。
しかし、右肩上がりの経済成長はとうの昔に終わり、一方でグローバル化の進展、少子高齢化による国内市場の縮小、人材不足等々、企業を取り巻く環境は厳しさを増している。そんな変化が起こっているにもかかわらず、人事管理は20年前、30年前と比べて進化しただろうか。
確かに新しい概念が多少は出てきてはいるが、蒸気機関車が電車になったとか、新幹線が登場したといったレベルの変化は起きていない。残念ながら人事分野では新しいパラダイムが出てこない。そこが問題だ。
思い切ったことをする必要がある
──これからの時代、人事は変わらなくてはいけないということですね。
やったことのないことをやらなくてはならない段階に入ったという気が強くする。たとえば、昔であれば理系の若い人材が次々と入社してきて、新しい技術が続々と生まれるというように、潤沢な労働力を背景に企業が成長し、人も成長するという好循環があった。
ところが、現在は労働人口の減少と高齢化が大きな問題となっている。労働人口が減り、なおかつ高齢化する中で、今までなしえなかったグローバル化を果たし、成長していかなくてはならない。思い切ったことをやる必要があるだろう。
──日本の少子高齢化は世界史上類を見ない速度で進んでいるといわれます。ということは、企業は前例のない課題に直面しているといえますね。
残念ながら日本企業はグローバル化で後れを取りつつある。少子高齢化が進む中でどのように戦うのか──大きな課題だ。日本には資源がない。今まで試さなかった「人事力」を試す以外にない。「人事力」がついたから会社が成長したという事例がたくさん出てきてほしいものだ。
──国内市場が縮小していく中、グローバル化は必須です。グローバル化を進めるうえで人事にとってどのようなことが課題となりますか。
アメリカでは人事制度を扱うコンサルティング会社は少ない。なぜかというと制度を作る必要性がほとんどないからだ。ジョブディスクリプションを示し、それに合った人材を採用、もし駄目だったら解雇して、違う人を募集するというように、労働市場を前提とした人材フロー型の人事管理ができている。
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