「来客1日5組・売上1万円台」コロナ閉店のリアル 膨らむ赤字、出勤したくない従業員、給与補償…
「そうであれば、店を休業しよう」
4月10日(金)、青森と仙台の2店舗のカフェを、4月11日(土)から5月6日(水)まで休業、残り3店舗も準備が整い次第、休業することを決断しました。そして4月20日(月)、全店舗休業しました。従業員には、4月のシフト分の給料を全額保証する約束をして、全員休みに入ってもらいました。
財務分析と今後のビジネスモデル
店舗の休業を決断したタイミングで、すぐさま当月の財務分析を行いました。飲食店は、毎日売上金が入ってくるため、会社の貯金がどれだけあるのかわかりにくいので、いまこの時点で会社のお金がいくらあるのかを知りたかったのです。
経理を担当してくれたパートさんに協力してもらい、各店舗の費用を算出しました。そこには、2人でミッションをこなしているような非日常的な空気感がありました。算出が終わると、会社の現金は2000万円を切る見立てになりました。ほぼ3月に想定したとおりでした。
このままいけば、年内に倒産する可能性はかなり高い状況です。この頃には、「コロナと付き合っていく世界」「コロナが終息した後の世界」という意味で、ウィズコロナ、アフターコロナという言葉が出始めました。アフターコロナは、ワクチンや治療薬の登場によって訪れる世界のため、1年以上はないだろうと言われていました。
そうであれば、いかにコロナと付き合っていくか、ウィズコロナに則したビジネスを考えなければなりませんが、店内飲食はほぼ絶望的な状況です。必然的に業態転換、もしくは店内飲食+αのビジネスを考えなければなりません。
しかし、現金が2000万円しかない状況では、5店舗の業態転換をするには、資金的に無理がある。そもそも、ウィズコロナの飲食店の正解がわからない中で、業態転換することは、博打に近い経営判断と言えるでしょう。
組織体制にも、問題がありました。私が5店舗の指揮を取る形の文鎮型組織になっていたため、業態転換をするにも、+αで新規事業を行うにも、すべて私が指示命令をしながら進めていく必要があったのです。
仮に、コロナの状況が落ち着き、いよいよこれから売り上げを伸ばしていくというフェーズに入れば、必然的に5店舗の営業指揮を取りながら、業態転換のプロジェクトや+αのビジネスも走らせなければなりません。各店舗には店長がいるので、店舗業務はある程度は任せることができたとしても、この前代未聞の緊急事態の中では、経営者自ら現場に入り、生の声を聞きながら判断していくことが必要です。
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