夢の「2拠点生活」こんなはずじゃなかった実態 都会と田舎を行き来する生活の盲点と落とし穴

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2拠点生活という価値観が、田舎ではまだまだ浸透していないことも、もやもやの原因になっている。

これは地域によると思うが、やはり移住して末長く住んでもらいたいというのが田舎の人たちの本音だろう。地元の人からも「ずっとこっちに住むつもりなのか」とよく聞かれる。正直なところ、何年も先のことを考えているわけではなく、さらに理想的な場所があれば、移り住んでもいいと思っているが、「まあ、そんな感じです」と、相手を失望させないよう、お茶を濁している。

2拠点生活という位置付けは、まだまだ田舎では理解を得にくい考え方だし、地域の一員として認められる妨げともなりかねない。たまたま外出していて、せっかくのお誘いに応じられないことがあるなど、2拠点生活を営む場合は、こんな形で地域に溶け込む貴重な機会を逸してしまうこともある。

贅沢な悩みになりそうだが、田舎暮らしは、季節を感じさせる楽しみが多い。春の山菜や山野草に始まり、梅干し作り、秋のキノコ採り、冬場の薪づくりや炭焼きといった、そのときに居なければ、味わえない楽しみや仕事がある。こうしたイベントを外せないとなると、もう1つの拠点に戻るタイミングは限られ、2拠点を行き来する日程調整に難儀することになる。

これは菜園づくりを趣味とする筆者に当てはまることだが、1つの拠点で広い土地を得て自給自足的な農業を始める場合、畑の水やりや種まき、収穫、獣害対策などでなかなか離れにくくなる。さらに、自給自足的な生活を支える卵を得るため、ニワトリやウコッケイ計5羽を飼育しており、何日か家を空ける際には、近所の人に世話を頼んでいる。が、これも頻繁になってしまえば、頼まれる方も負担になるだろうし、頼みにくくなってくる。

コロナ禍の田舎生活は最高の贅沢だが

コロナ禍で都会では閉塞感のある生活が続く一方で、田舎はまるで「別の惑星」のような開放感がある。マスクをしている人は、ほとんど見かけないし、コロナという言葉も最近は聞かなくなった。

自給自足的な生活をしており、野菜やコメは自前でまかない、獣害対策の対象となったシカの肉や、天然のキノコ、クリなど山の幸が、毎日のようにおすそ分けとして届けられる。必要な調味料はインターネットを利用した通信販売で事足りてしまう。薪の材料となる木材も田舎にはふんだんにあるし、生きていくための基本的なものはそろっている。コロナ禍の今、つくづく田舎で暮らしていてよかったと感じている。

ただし、この状況はコロナが収束すれば変わる可能性がある。実際、2拠点生活のメリットは少なくない。とくに都会に住んでいれば、大自然に触れたり、広い居住空間を確保したりするのが困難だが、田舎には自然が広がり、広い空き家や畑、さらには森林の入手も可能だ。

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