男性フリーアナが「MC以外」で活躍できない理由 一方、「局アナ道」を体現する安住紳一郎の凄み

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ほかにも大学や大学院での専攻を生かした生物オタクの日本テレビ・桝太一など挙げればきりがないほど、キャラが立った男性アナの存在はいまや珍しいものではなくなってきている。

男性フリーアナがタレントとして成功する難しさ

ただそのことは、必ずしもアナウンサーのタレントとしての成功には直結しない。実際これまでのところ、フリーになって純粋にタレントとして活躍した男性アナの例は、意外に多くはない。

確かに大御所的なところでは、元・日本テレビの徳光和夫や元・テレビ朝日の古舘伊知郎はタレントとしても十分成功している。局アナ時代はともにプロレス実況で名をはせた2人だが、現在はバラエティー番組にもよく出演し、存在感を発揮している。とくに徳光和夫などは、レギュラー出演するテレビ朝日の人気旅番組『路線バスで寄り道の旅』では、移動中のバスのなかで居眠りする姿がもはや名物にもなっている。

とはいえ、徳光和夫にしても古舘伊知郎にしても、メインの仕事は司会やMCということになる。そのあたりは、かつての野際陽子(元NHK)や現在の田中みな実(元TBS)のように女優としても活躍するようなフリーアナがいる女性アナとは明らかに異なる。徳光や古舘よりも若い世代では、元・日本テレビで2019年に好きな男性アナウンサー3年連続第1位の羽鳥慎一にしても、『羽鳥慎一モーニングショー』などメインになるのはやはりMCの仕事だ。

なぜ、男性フリーアナの仕事はこのようにMCに限定されてしまいがちなのだろうか? 理由はいろいろありそうだが、ひとつ考えられるのは、いまのテレビでは男性フリーアナがお笑い芸人と競い合わなければならない状況があることだ。

MC業へのお笑い芸人の進出は、いまもとどまることがない。お笑い芸人、とくにツッコミの芸人の仕切りの能力が、そのままMCの仕事にも有効だからである。多くの出演者にバランスよく話を振り、タイミングを見計らって場を盛り上げていくスキルにおいて芸人には一日の長がある。

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