下北沢で始動「日本版ハーバード」の凄い学び方 居住型キャンパスを立ち上げる29歳の挑戦
小林氏はこの考えに共鳴しともに作り上げてくれるパートナーを探し、見つかったのが下北沢駅周辺の開発を行っていた小田急電鉄だ。小田急電鉄の開発推進部課長橋本崇氏はこう語る。
「小林さんを紹介されたときはあまりに若くて驚きました。これからは予見が困難な時代の中で新たな価値を創造していく力が必要になっています。下北沢の住人は多様性にあふれ1人ひとりが自分らしく生きている街です。このカレッジが人と人をつなぎ、刺激し合いながら下北沢という街を発酵させていってほしいと思っています」
12月にオープンするレジデンシャル・カレッジは、11月より1期生を順次募集開始。来年4月の開校を経て2022年4月にいよいよ本格開校する。都内の大学や専門学校に通う学生たち100名以上が学ぶ見込みだ。
「カレッジには複数の大学や専門学校でさまざまな分野を学ぶ学生が集まります。寝食を共にすることを通じて自分の学校や学部以外の世界に触れることができるのです。2022年の本格開校の際には、高校生も社会人も入学し共に学ぶ多世代型の教育機関となる予定です。下北沢の街がまさに多様性にあふれたキャンパスになればと願っています」(小林氏)
「大学の本質的な価値は体験そのもの」
しかし、建物の完成予定だった今年、新型コロナウイルスの発生で学生の共同生活リスクが高まった。多くの大学は一時キャンパスを閉鎖し、秋に再開したもののオンライン授業を増やすなど学生が集うのを回避しようとしている。小林氏はこの現状をみてこう語る。
「カレッジで多くの学びを得たものとして、非常に悲しい状況です。大学生がキャンパスに戻れないことで、感受性豊かな若い時期に多様な人たちと交流しながら学ぶ機会が失われています。これは非常に残念なことです」
カレッジでは感染対策に万全を期しつつ、オープンに向けた最後の準備を行っている。
「一方でコロナ渦は追い風であると考えています。世界中のキャンパスが失われたことで、多くの学生や保護者は、大学の本質的な価値は授業や学位だけではなく、体験そのものだと体感しました。近い将来オンラインで授業を受け、リモートで学位を取れる時代が来ます。世界中の大学で学ぶ学生が、下北沢に集い学び合う。こうした新しい学びの場が東京にあることを世界に広めていきたいです」(小林氏)
いよいよ下北沢に生まれる新たなかたちのキャンパス。どんな多様性と創造力を生み出す学びの場となるのか注目だ。
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