早朝から外をウロウロ「放置子」の深刻な実態 専門家は虐待の一種だと警鐘を鳴らしている
ーー放置子の場合は「これは虐待なのだろうか」という気持ちから、通報をためらう人もいるかもしれません。
たしかに、そのような面もあるように思います。しかし、放置子も虐待の一種であるという認識が必要だと私は思います。子どもの心や体が傷つくことは虐待である、という認識のもと、虐待の範囲自体も変化しています。
虐待によって、子どもは身体的発育や知的発達、心理面においてさまざまな影響を受けることとなります。子どもは「本来愛してくれるはずの親にさえ受け入れてもらえず、自分は要らない子どもだ」と受け止めてしまうため、自己肯定感が育ちません。
その結果として、青少年・大人となっても対人関係が苦手であったり、犯罪や非行に手を染めたり、自殺を考えたりするなど、その後長期にわたっての影響が続くことになります。早期発見・早期通報が重要です。
将来的に「放置子」を減らすために
ーー今後、放置子を減らすためにできることはどのようなことでしょうか。
何かをおこなうことで、今すぐに状況を変えることは難しいかもしれません。親たちの意識を変えることもなかなか容易ではないでしょう。
しかし、子どもの幸せをその親に任せるのではなく、大人世代の意識を変えることで、いま目の前にいる放置子を救うことはできると思います。
まずは大人世代が放置子も虐待の一種であるという認識をもち、子どものためを思って通報することが重要です。そして、子どもは「社会全体で育む」という意識が必要ではないかと思っています。
また、将来、親になるかもしれない子どもたちに働きかけることで、10年、あるいは20年先に「放置子」を減らすことはできると思います。
先ほど、放置子の親には大きく3つのケースがあると述べました。(1)親性は、学校での教育で育むこともできるでしょう。ボランティア活動などを通して「人のために」という発想を身につけるなど、学校教育の場でできることはあります。
また、(2)どうしてよいかわからずに追い詰められてしまう、(3)意思疎通が苦手、というパターンについては、社会のサポートが不可欠です。(3)については、子ども時代から適切な支援やトリートメントを受ければ、改善が期待できるとされています。
ほかにも、児童相談所のスタッフを増員したり、通報意識を高めるための啓蒙活動などを行ったりすることも大切なことだと考えます。
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