早朝から外をウロウロ「放置子」の深刻な実態 専門家は虐待の一種だと警鐘を鳴らしている
第2に、誰にも相談できず、社会のサポートを十分に得られていないケースです。とくに、突然の配偶者との離別(あるいは死別)により、女の子を1人で育てているシングルファザーの中にみられることがあります。周囲に弱音を言えず、どうしてよいかわからずに追い詰められ、結果的に子どもと向き合うことから逃避してしまいます。
第3に、もともと他者とのコミュニケーションや意思疎通が苦手な人が親となったケースです。
例えば、「自分ができることは当然子どももできる」と考えてしまい、1人では何もできない子どもをほったらかしにしてしまうこともあります。また、親自身が発達障がいがあることに気づいていないというケースもあります。
文部科学省によれば、特別な支援を必要とする児童生徒は6%以上いると試算されています。また、発達障がいはまだまだ調査・研究が必要な領域といわれています。早期に適切な対応をすれば、かなりの成長が見込まれるとされていますが、現代の親世代は早期発見をされないまま成長した世代といえます。
「放置子」にはどう対応すればいい?
ーー「放置子には関わらない方がよい」という声もある一方で、「なんとかしたいが、どうすればよいのか分からない」と悩む人もいます。実際にこのような子どもたちと接した場合、どのような対応をするべきでしょうか。
「放置子」といわれる子どもの中には、親から得られない愛情を他の大人に求めてベッタリ甘えてしまったり、手を差し伸べてくれた人の愛情がほしいためにその人の子どもと敵対関係になったりしてしまうケースもあります。
そうなると、とても個人の力だけでは、子どもを支えきれなくなります。
私は、やはり今できる対応策としては、児童相談所(児童相談所全国共通ダイヤル「189」)に連絡することだと考えています。
アメリカでは、子どもは「社会の子ども」であり、社会全体で育てるという意識があります。他方、日本ではその意識は薄く、「○○さん家の子ども」という意識の方が強いように思われます。そのため、なかなか他人の子どもに口出ししにくいという現状もあります。
また、中には「こんなことで通報してよいのだろうか」「悪いことではないか」などと、通報を躊躇する人もいます。しかし、最終的にどうするかという判断は児童相談所がおこなうことです。判断はプロに任せて、まずは早期に情報提供をと思います。手遅れになり、子どもが亡くなってしまう可能性も考えられるためです。